斑にマーガレット
殺せない獣‥
死と再生を廻る存在。その最期は驚く程に静かだった‥。
朱色の月に照らされ、黒い切り株の袂に天を仰ぎながら倒れ落ちた。
「‥ゼーレンヴァン‥デルン‥グ」
胸に刺さる神形器を手に静かに囁く。
彼の者の望んだソレは、彼女の手の中で3つの欠片となり飛び散った。
「剣が‥良いのか?」
「良いも何も、壊れたんだから、しょうがないじゃない!それに‥」
少女は呟く
「もう必要ないもの‥」
事の終わりを知っていたかの様に、南方より落ち着いた様子で歩み依る二人の影。目の前の光景に獣の正体を知る。
「オカシイわね?手段をえらばなければ結果は変わっていた筈なのに‥」
「お嬢様?それは‥」
「もっとも、私が運命を繰ればそれすらも意味を成さなかったとは思うけど」
「‥‥」
東より駆け寄る3人。
「遅れて申し訳ありません!私が未熟な為に、時間が掛かってしまい‥」
息をきらせながら跪き、そう言う少女に彼の者は応える。
「あー‥良いわよ。どっちみち、全部殺らなきゃいけなかったんだし」
「え‥それは⁉あ‥」
横たわる彼女を見て、声を失う‥
「スクープでしょ?ご自由に‥」
「あやや‥流石に悪趣味ですよ!それに私のモットーは清く正しくですから‥」
「彼女には少なくとも‥」
「そうよねぇー‥」
いつの間にか居た北より戻った2人。
「‥‥なんで」
「花を愛でる彼女は、少なく共嘘はついて無かったわ」
彼女の亡骸が光と散る。
輪廻の輪の元に‥
‥が、世界は変わらない。
「な‥なんでよ?どう言う事か説明なさいよ!」
虚空に話掛ける彼の者に、応じる様に空に切れ目が走る。そこから1枚の手紙が落ちて来た。
『異変はまだ終わってない。いいえ、私達は最初から何も出変えられなかった。特異点、因果律、私達は持たざる者だった』
「どう言う意味なんだぜ?」
「なによこれ!!ちょっと、ゆか‥」
彼の者の言葉が終わる前に光が完全に消える‥。
その瞬間、世界は閉ざされた‥。