週一でJKの犬です
「わんわん!」
「ウルサイ!!」
俺は小林康夫。今日は犬だ。
「お手!」
「わん!」
「お座り!」
「わん!」
「後方伸身二回宙返り三回ひねり!!」
「わん!!」
スーツにシワ一つ付かず。完璧だ。
「よーし、今日のここほれワンワンは!?」
「くぅ~ん」
何処ぞの裏山。根っこが張り巡っていて掘りにくい。三メートル程掘ったところで、何か堅い物に手が当たった。
「わんわん!」
「出た!? 何が出た!?」
丸い、曲線に、三枚の羽根のような物。
「不発弾じゃないの!! 何やってんのよこのアホは!!」
「くぅ~ん……」
ご主人様に頭をしばかれる。悪くない。
「処理しなさい」
「えっ!?」
「ココで今すぐ処理しなさいな!!」
「マ──わんわん!?」
「処理するまで私はここから一歩も動かないわ!」
ご主人様が足を組んで穴の上に座り込む。
逆行でスカートの中は見えないが、確かにそこにあると思うと興奮を禁じ得ない。
「わん?」
「来る前に処理の仕方くらい勉強しときなさいよアホ犬!!」
「くぅ~ん……!」
とりあえず小型なので、口で信管を回せば良い。
「わ、わん……!」
万が一爆発などしたら、ご主人様に怪我をさせてしまう。それだけは避けなくてはいけない。
「……わん!」
「出来た? よしよしいい子ね」
ご主人様がその御御足で土をかけてくれた。悪くない。
「それじゃあ油田かマチュピチュが出て来るまで掘り続けるのよ!!」
「わん!」
その後、ひたすらに掘り続けたが、貝殻一つすら出て来なかった。無念。
「なによ役立たず!!」
「わふんっ!」
ご主人様にしばかれた。悪くない。
「もうこんな時間じゃないの!! 犬! 帰るわよ!!」
「わんわん!!」
ご主人様を見送る。見えなくなるまで頭を下げる。途中で帰ったフリをして戻ってくる時もあるので、最後まで気を抜けない。
「……」
よし、帰ったな。
──プルルルル
「あなた? どうしたの?」
「今仕事が終わったよ。これから帰る」
「休みの日なのにご苦労様。今日は何食べたい?」
「ハンバーグが良いな」
「わかったわ♪ じゃあね」
「うん」
妻よ。俺を許せ。