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37話 開戦

 「岡、カタヤマのあの自信は何だ?」

 「ひょっとすると無反動砲があるのかもしれん。5x20の敷き鉄板は25mm厚だよな?それぐらいは突き破るぞ。」

 「こちらの装備は小銃だけか?」

 「C4というプラスチック爆弾が30kg。手榴弾が30個ほど、ミニミっていう軽機関銃が2丁。狙撃用のライフルが2丁。拳銃が20丁。あとは各弾薬が山ほどある。」

 「装甲車には対抗出来そうか?」

 「今ある装備が通用する保証はない。多分無理だろう。」

 「無反動砲を潰してくれれば装甲車は俺が何とか出来そうだ。考えがある。

 ところで、もしも、こちらの予想を上回る戦力を相手が持っていた場合、岡ならどうする?」

 「拠点の放棄、撤退だな。」

 「俺もそう考えていた。その線でも用意をした方がいいな。撤退するなら岡はどういう経路を使って脱出する?」

 「どこかの橋の土嚢をどかして車で脱出しか無いだろう。」

 「チッチッチ、発想が貧困だな、岡君。海を使ってはどうかね?」

 「おぉ、それは良いな。でも誰が操船出来るんだ?」

 「はっはっはっは、君のお友達は船の免許も持ってるんだよ。若い頃ジェットスキー流行ったろ?あの時取ったんだ。せっかくだから1級免許を取ったんだぜ。」

 「モテようと努力してるお前の若い頃が容易に想像出来るぜ。」

 「うるせー、岡みたいに努力しねー奴よりマシだ」

 「俺だって努力してらぁ。」

 「どこが?どの辺が?」

 「あぁ?わかんねーのか?お前どぅかしてるぜ!ホラっここだよココ。」

 

 整えられた揉み上げを指差しながら岡は言う。ほかは坊主頭が伸びかけ、ボサボサだ。

 

 「かぁーそんなとこに気がつくオナゴがここにいると思ってんのか?」

 「はいはい貴方達は二人とも頼もしくてモテますよ。じゃれ合ってないでお仕事してくださいね。」

 

 アキコが呆れながら二人の尻を叩く。

 

 

 もしもの際の撤退準備、その他の作業を進めていると約束の時間があっという間にきた。

 

 「何とかギリギリ準備が間に合ったな。あとはカタヤマが無反動砲以上の武器を持ってない事を願うばかりだな。無反動砲は頼んだぞ。」

 

 社長は汗を拭いながら岡の肩に手を掛ける。

 

 「あぁ任せとけ、いかに早く無反動砲を潰すのが今回のキーポイントだからな。」

 「来たぞ!」

 

 カタヤマは堀を挟んだ向こう側、社長は堀のこちら側、ユニックゲートの前で話しをする。

 

 「考えは纏まったか?明け渡すか、死を選ぶか、どっちだ?」

 「ははは!俺は欲張りでな。明け渡さないし、死も選ばん。オマエラが武器を置いて、『どぅか助けて下さいぃぃ中に入れてくださいぃぃお願いしますぅぅ』って可愛く言えば考えないでも無いぞ。どうだ?」

 「お前は馬鹿か?これを見てもまだ強がれるのか?」

 

 カタヤマが手下に合図し、手下が持って来たのはやはり無反動砲だった。

 

 「予想通りのリアクションはハマり過ぎると寒いぞ。」

 「予想してたから何だ?言う事はそれだけか?そろそろ逝って良いぞ。」

 

 カタヤマが頭上にあげた手を振り下ろし合図をすると手下は無反動砲を打とう構えた。その瞬間三島に狙撃され、その場に無反動と共に倒れる。

 別の手下が無反動砲に駆け寄るがそこに手榴弾が投げ込まれ無反動砲は破壊された。

 

 「ゴングは鳴ったぜ。そっちのカードはいきなり無駄になったが、大丈夫かなぁ?カタヤマくぅん息してる?はははは。」

 

 社長は思いっきり挑発しながらユニックゲートの裏に去っていった。

 

 

 テクニカルの74式車載機関銃がドドドドドと火を噴き、カタヤマの手下が小銃を乱れ撃ちして来るがこちら側にダメージは無い。

 三島達の的確な反撃で74式車載機関銃の射手は倒れ直ぐ別の射手がつくが、また三島の射撃により倒れる。それを何度も繰り返す。

 

 「隊長、備砲沈黙しません」

 「弱音は聞きたく無ねーぞ、三島ぁ。」

 

 三島が無線ごしに焦った声で岡に報告してくる。

 

 「ア◯ロ逝きまーす。」

 

 社長が無線の会話に割り込んでくる。

 ユニックゲートが動き、奥から魔改造された装甲ユンボがカタタタタタタとキャタピラを鳴らしながら登場した。

 このユンボは最初に装甲化したユンボで、キャビンを含め、全てを敷き鉄板で囲っている。

 目線の高さをスリット状にして外部視界を確保している。

 さらにアームについている油圧ホースも敷き鉄板で囲みスキは無い。

 74式車載機関銃が集中して弾を撃ち込んでくるが貫通する弾は1発も無い。

 悠々と堀を股越え敵陣へ入る。

 ユンボはキャタピラが届けば、ワザワザ穴の底に降りなくても越えられる。

 

 「ホラよっ!」

 

 テクニカル化したピックアップトラックをユンボのバケットで引っ掛けひっくり返す。

 

 「もう一丁!」

 

 その場で旋回し今度は機動隊車輌をひっくり返しにかかる。

 

 「重てぇな。おりゃおりゃおりゃぁー!」

 

 さすがに重量がある為手間取るが、何度かゆさゆさ揺すり、倒す。

 腹を見せている機動隊車輌。二度と走行出来無いようにドアイブシャフトにバケットの爪を引っ掛け抉る。ガゴっと音がしてドライブシャフトが外れた。

 

 「なはははー!俺は無敵だ?!カタヤマくぅん、どーこだ?恥ずかしがってないで出ておいでぇ?。」

 

 敵戦力の中核を成す2台を瞬く間に無力化した社長。調子に乗って次の車輌に近づこうとした時、ユンボの直ぐ横で爆破があった。

 

 「社長、迫撃砲だ。直ぐに戻れ、次が来るぞ。」

 

 無線から岡の声が聞こえる。

 

 「いかん、調子に乗りすぎた。ヤバイヤバイ。うぉっ!爆発近い近い。マズイマズイ。」

 

 社長はユンボを後退させながら叫ぶ。

 

 「きゃー!ゲート開けて?!」

 「社長よ、楽しんでるだろ?」

 「すまん、ちょっと高揚してる。すんげー興奮すうるな!迫撃砲はマジで焦った。っていうか、ここも不味く無いか?」

 

 ゲート直ぐ横の土嚢に迫撃砲が直撃した。

 

 「岡ぁ、退却するか?」

 「その前にコレ!行くぞ。」

 

 岡が緑色の弁当箱を取り出す。

 

 「おぉ、それ見たい!見たら危ない?ねぇ危ない?」

 「社長よ、はしゃぎ過ぎだ。爆破するぞー!耳を塞げ!」

 

 岡が周りに叫ぶ。

 次の瞬間、カタヤマの車列下道路に埋められていたC4が爆発した。

 ドゴーーーン

 キーーーーン耳が聞こえなくなる。徐々に音が聞こえ始める。

 

 「敵車輌半数が沈黙しました」

 

 三島が効果測定する。

 しかし、敵の迫撃砲は止まらない。

 

 「カタヤマの切り札はこれだったかもしれん。岡、撤退しようぜ。あれの射程距離はどの位なんだ?」

 「100m~5,000mだ。」

 「えぇ?そんなに?拠点もヤバイじゃん。」

 「あぁ、対戦車砲の次にヤバイかもな。しかもお手軽だ。」

 「岡、念のため無線で全員港に避難させろ。」

 

 社長と自衛隊員の6名は一目散に逃げるが、迫撃砲の爆発は後ろを追いかけてくる。

 

 「岡、どっかで俺たちを見張ってるのか?見えないはずなのに爆発が追いかけてくるぞ。」

 「このまま港に逃げ込むと皆迫撃砲の餌食になる可能性があるな。」

 「岡ぁ、どうするよ?」

 「ほかの皆は港に避難した事はバレていない様だな。バレてればそっちにも迫撃砲が降り注いでるはずだからな。俺たちは共同溝に向かう。」

 「さすが岡!冴えてるな。」

 

 社長は興奮気味に岡の背中をバンバン叩いて共同溝へ向かい始めた。

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