表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/64

18話 ブリッジ封鎖

 「各自の持ち場を発表するぞ!

 トンバック詰め・・・カズミ

 トンバック運搬・・・リンダ

 トンバック積み・・・俺

 家事・・・アキコ

 癒し係・・・マイロ

 以上、各自自分の作業を責任持って完遂すること!マイロはおいちゃんと仕事しようねぇ。」

 「貴方は相変わらず動物には甘いわね。」

 

 キリっとした顔で持ち場の発表をするも、最後のマイロにデレデレしているとアキコから呆れられた。

 

 「トンバックは採石場で詰めるぞ。最初は難しいと思うがすぐにカズミなえら慣れる。運搬の積込みは2段で積むなよ。ラッシング出来ないだろうから運搬途中で落っことすぞ。運搬はかなりの重量になるから、安全運転を心掛けてくれ。封鎖用に積み上げるのも技術がいる。そこは任せろ!

 次に封鎖する橋の順だが。採石場から一番遠い北側から封鎖する。カズミがトンバック詰めに慣れないうちはピストンのサイクルを長く取るためだ。作業が進むにつれてピストンのサイクルが早くなってくるからそれまでにトンバック詰めに慣れる様に!

 続いて作業開始の段取りだ。

 まず、この拠点のユンボをのせた回送車に俺とリンダ、カズミが乗りこみ採石場へ。そこでカズミを下ろし、採石場のユンボでカズミはトンバックを詰めていてくれ。

 その後北側の橋までユンボを運ぶ。橋でユンボを下ろしたらリンダは採石場へ。

 採石場に着いたら詰めたトンバックを積込みピストン開始だ。

 時間は有限だ。効率よく頼むぞ!

 1日の作業のリミットは夕暮れだ。俺はユンボを置いて適当に車を見つけて戻る。リンダはカズミと回送車で帰ってきてくれ。必ず日没前には拠点へ戻る事!日没後になりそうな場合は安全な場所を見つけて朝まで戻るな。

 1人のミスが全体に波及する、気を引き締め作業にてかかる様に!」

 「「「はい」」」

 

 翌日、日の出とともに起床。簡単な朝食後に作業開始した。前日の打ち合わせ通り人員を配置し淡々と作業は進む。

 

 「くっ、社長が言った様にトンバックに土砂を詰めるの、意外に難しい。1人助手が欲しいけど、慣れるしかないかぁ?。」

 

 トンバックはある程度土砂が入れば自立する。最初の一杯を上手く入れないとトンバックの淵が土砂の下敷きになり、それを掘り出して作業再開という手戻り以上の手間がかかる。

 

 「ピコーン!閃いた!トンバックの入り口半分ひっくり返して四隅を板で支えて自立させれば入れやすい!」

 

 一手間加える事で作業はみるみるスピードアップし始めた。

 

 「ぬっふっふっふ、社長が驚く声をあげるだろうなぁ。」

 

 上手い重機乗りは、閃きと工夫が重要になる。その意味ではカズミは上手い部類に入る。

 

 

 一方その頃リンダは

 

 「空荷の時と荷物が積んである時で制動距離が違いすぎる。発進の時も荷物を積んでるとギアを1stから使わないといけないし。ホント気を使う。事故ったら携帯が死んでる今は助けが呼べないしなぁ。普段トラックドライバーを馬鹿にしてたけどなかなか大変な作業ね。」

 

 空荷の際はブレーキが効きすぎて、軽く踏むか、ブレーキペダルの根元を踏む等の工夫をしなければハードブレーキングになってしまう。

 荷物を積んでいる時は先の状況を読み、前もってブレーキを掛けないとオーバースピードでコーナーに突っ込む事になる。

 おっかなびっくり運転するリンダだった。

 

 

 その頃、リンダが運んだトンバックを橋に積みあげながら1人で社長はつぶやく。

 

 「今頃それぞれ四苦八苦しながら作業やってんだろうな。まぁ、慣れてもらわないとまだまだ先は長いからなぁ。」

 

 作業中ゾンビが現れるが、社長は何事も無く、蚊を叩き潰すかの様に、ユンボでペンっと、スタンピングして瞬殺。死体は川へユンボでポイッ。

 

 「これで流入が止まればいいが、山越えされると逆に退路を塞ぐ形だよなぁ。何か考えないとな。」

 

 夕暮れ近くになり、社長は作業現場近隣で動く車を探し帰宅した。

 

 スーパーハウスに社長が入るなりアキコが聞いてくる。

 

 「貴方、ごはんにする?お風呂にする?それともワタシ?」

 

 アキコが色っぽい声で聞いてくる。

 

 「おぉ!一度は聞いてみたかったフレーズだ。」

 「もぅ、冗談よ。二人とももう先に帰ってきてお風呂に入ってますよ。」

 「後で一緒に入るか?」

 「久しぶりね。ウフフ。」

 

 中年カップルがいちゃいちゃしてるとカズミが風呂からあがってきた。

 

 「社長、お疲れですぅ。ねぇ、聞いて聞いてトンバックね、入り口を半分ひっくり返して板で支えて詰めると早く詰めれる事発見したんだ。」

 「ん、工夫する事はいい事だ。教えられずに出来たと言うことはユンボマスターへの道を歩み出したって事だ。今後とも精進する様に!まぁ、俺のレベルになるまではまだまだだろうがな。ガハハ!」

 「もぅ!普通に誉めろよ。」

 

 ぷりぷりしながらビールを取りに冷蔵庫へ向かう。拠点の住居は200kvA発電機で電気を起こしているため、電力の供給が止まった今でも普通に家電製品が使える。発電能力がいささかオーバースペックだ。

 

 「社長さん、トラックの運転って意外に奥が深いねぇ。ちょっと肩凝ったよ。」

 「おっ、リンダも分かってきたな。その調子で安全に気をつけながら明日も頼む。じゃぁ、風呂入ってくる。」

 

 野趣溢れる露天風呂もとい浴槽が屋外にドンと置かれただけの露天風呂にゆっくり浸かり昼間の疲れを癒す。

 

 「ゾンビが出てきて会社がどうなる事かと思ったが、なかなかどうして普通にドカタやってるな。のあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 裸のアキコが現れた。

 どうする?

 たたかう

 背中を流させる

 抱く

 にげる

 頭の中で某有名ロールプレイングゲームの選択肢が出てきた。

 

 「貴方、お背中流しましょう。」

 「うむ、良きに計らえ。」

 

 アキコがナイロンタオルで背中を擦る、時折背中に柔らかい二つの感触を感じる。

 

 「あっ、滑りました。」

 「滑り過ぎだろぅ。何故手が股間まで来るんだ?」

 「生命の危機に晒されると性欲が高まりましてよ。それにここで、おイタしたでしょう?全部聞いてますからね。」

 「あれは、王様ゲームで奉仕・・・はぅ!」

 

 体の真ん中をギュっと握られる。

 

 「でわ、私も奉仕をしましょう。」

 「ハイ、オネガイシマス。」

 

 爛れた夜が更けていくのだった。

 

 

 翌日も日の出と共に起床。

 

 昨日の作業を続行する。北側の工程は昨日で半分終了している。この調子であれば西・東側の封鎖作業は残り5日間程で終了する。

 

 

 5日後

 途中、ゾンビが現れたが全てユンボによるスタンピング攻撃で瞬殺され工程に影響無く全作業が終了した。

 

 「やったな!皆んなお疲れ!あとは封鎖地区内のゾンビの排除だ。これは俺が請け負おう。しかし、まだ懸念は残る。南の山越えルートだ。山越えルートをどうにかしないといつまでも不安要素は残る。もしもの時の防御の備えと耕作地の拡大を狙い、今の拠点の外側にさらに万能板で塀を作ろうと考えている。

 どこかに抜けがあって気がついたらゾンビの群れに包囲されていた!なんて状況でも囲いが2重なら安心出来るだろう。

 耕作地の拡大についてだが、どこかでトラクターを手に入れようと思うが、誰か心当たりあるか?」

 「この辺りは農家が少ないよねぇ」

 「南のS県に向かう峠の集落にはありそうですよね。」

 「貴方、トラクター乗れるの?」

 「うん、いい質問だ。乗った事は無いが、重機と同じノリだと思う。どちらにしろ、回送車でトラクターを引き取りに行くつもりだから乗れなくても問題は無い。敷地内で練習すればいいだろう。」

 「アタシ乗ってみたぁい。」

 「おっ、カズミは乗り物好きだなぁ。まぁ、トラクターは見つけてからの話だが、それからさっきも言ったが山越えルートをどうにかしないとな。皆んなは何か策があるか?

 それと、俺が持ってる将来のビジョンだが、ここに安全地帯を確保したら、外で生き残ってる奴を受け入れたいと考えてるんだが、皆んなはどう思う?まぁ、俺はホントはこのままハーレム状態が良いんだがな。ガハハ!」

 「コミュニティーの外から人を受け入れると対立や治安が悪くなりません?」

 

 リンダが不安そうに聞いてくる。

 

 「映画ならお決まりのパターンだなリンダ。だが、俺たちが出来るのは土木工事までだ。誰かが病気になったらどうする?農作物が病気になったらどうする?発電機が壊れたらどうする?子供が出来たら、産まれたらどうする?」

 「アタシ社長の子なら産んでも良いよ。」

 「あたしも!」

 「ハイっそこの2人!この場で言うセリフでは無い。リンダも便乗しない!」

 

 後ろからゴゴゴゴゴゴと言う音が聞こえてきそうだ。

 恐る恐る振り返ると意外ににもアキコは意外にも普段通りだった。

 社長はほっと胸をなでおろす。

 

 「話を戻すと、俺たちはこれまでいかに社会に依存して生きていたのか分かると思う。これからは全てを自分達で行わなければならない。

 長い時間をかけ試行錯誤している暇は正直無いと俺は思う。だったら手っ取り早くその知識経験を持ってる外部から人を受け入れようと言う答えに辿り着くんだが、どう思う?」

 「社長が良いと思うなら良いよ。」

 「あたしも。」

 「この群れのリーダーは貴方よ。皆従うわ。

 それから群れのリーダーはハーレム作って当たり前だと私は思いますから、先ほどの発言につきましては特に目くじらを立てません。それに子孫を残す事については、残された私達の使命と考えています。が貴方!平等に愛して下さいね。」

 

 目だけ笑ってない笑顔が怖いですよアキコさん。

 

 「貴方、何か言いましたか?」

 「ナニモイッテナイデス。」

 「では、今から皆で順番を決めましょうね。」

 「あの?、山越えルートは?、聞いてますか??」

 

 順番決めに夢中になる女性陣に蚊帳の外にされる。

 誰がどの順番なのかは聞くのは野暮だなと頭を掻く社長だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ