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桜髪の乙女は貴族令嬢兄上様、弟を愛するために魔女、悪役令嬢へと堕落す。  作者: 水銀✿党員
聖なる母、道を示す父は堕ち、極悪な令嬢で火を粉を振り撒く
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迎え


 バーディス、メグル、ロナにその姉に従う妹たちを連れ私は奪還作戦と言う意思表示を決行することを決める。時間は昼すぎ、お腹を満たし鎧を着込んだ私たちは城の前へと時間通り集まった。異様な光景に多くの目がある中で城門の前へと進み。驚いた衛兵が私に問い。私は後ろで待つ数十人に手で制止させる。


「な、何事でしょうか?」


「通してください。妹を返してもらいに来ました」


「通行証などは……」


「ないですね。まぁ……ここにお金があります」


「賄賂かぁ。しかし、お前ら……そんな出で立ちで何を?」


「妹を返して貰いに来たと言ったでしょう。そう、シルバーライト家からね」


「いや、こう……俺にも迷惑かかりそうだし。賄賂もいらないから帰……」


 私は手を上げる。そして……命令を下す。衛兵は立派な方だったようだ。賄賂になびかない程度には。


「行け」


 短くそう言った瞬間、衛兵の一人が慌てて鐘を鳴らし。私はそれを後ろから蹴る。倒れた衛兵に手際よく妹達が用意した手錠をはめる。他の衛兵たちが剣を抜いた瞬間にメグルが剣を抜き腕を斬り落として、声を荒げる。一人の衛兵の大怪我に衛兵が怯える。


 さぞ、なめ腐った訓練しかしてこなかったのだろう。


「カチコミじゃぁ!! 城に一番に行くのは誰ぞ!!」


 令嬢らしからぬ激しい怒声にメグルを姉と慕う令嬢達が第一の門をくぐり抜け、閉じられた第二の門を対魔法障壁の上から炎の魔法でぶち抜く。我先にと妹達が駆け抜ける中で私は……叫び士気を上げる。


「シルバーライト家の愚行を許してならない!! 剣を抜け!! 我が妹分、ルビアを迎えに行く!! 道を作れ!!」


「「「「はい!!」」」」


 剣を抜き、個人で好きな槍や戦斧さえ持ち出した令嬢達が慌てて出てきた衛兵や騎士を切り伏せ。血の絨毯を作り上げる。常駐する騎士たちは鎧も着ておらず軽装のままなため一瞬で身を崩せた。近くにいた幹部クラスに後は任せると言い。令嬢たちがバラけ撹乱するなかで私は一人で走り出す。


「さぁ、待ってなさい。銀色の姫」


 私が鍛えた妹分たちの働きぶりに満足し、歩を進めた。





 私は大きな警鐘が響き驚く。隔離部屋の一室で窓の外を見るがなにかがあった事だけしか見てとれない。しかし、数分後……騎士が部屋の鍵を開けて入り込む。最近、拷問もなく。ただ、監禁生活だったが……騎士の表情で察するものがあった。


「何か?」


「何もない……扉を固めよ!!」


「……」


 騎士が家具で扉を塞ごうとし、私はその行為によって確信へと変わる。慌てて窓の外を見ると……一人の女性が見えそして目が合う。白い鎧に剣を携え、堂々とする姿。少しニヤっと笑い、『迎えに来た』と口を動かした。


「エルヴィス姉ちゃん!?」


「なに!? どけ!!」


 騎士のリーダーだろうか私を押し退けて窓を見る。すると窓の前に火の鳥が現れ、窓を割って騎士を吹き飛ばす。一瞬の出来事に空気が凍る。


「ぐあ!?」


「隊長!!」


「くそ!! 魔法使いか!!」


「おい、お前ら何故ここにいる!!」


 塞ごうとする扉から、私を拐ったアルベルトが現れ怒声を騎士たちに浴びせる。


「そ、それは奴らはきっとここに……」


「ここに来るのは知っている!! その前に切り落とすのが先だろ!! ここで人質を使い身を固めようとする行為は私が許さない!! 仕留めて来い!!」


 アルベルトが剣を抜いて騎士を怒鳴り、部屋から追い出す。そのまま遠くで悲鳴が聞こえ……姉ちゃんの前に出てしまった不運を哀れむ。そのまま、アルベルトは私の体のホコリを落とす。


「迎えが来たようだ。ルビア・グローライト。いいや、ルビア・ヴェニス」


 アルベルトは剣をおさめず私の拘束する腕輪に魔法を唱えて解除した。その行為に私は腕を掴み首を振る。


「……ダメ、戦ったら命はない。姉ちゃんは騎士でもあり、魔法使いでもあり、武人でもあるの」


「知ってます。君から全てを聞いている。だが、シルバーライトの騎士。逃げるわけにはいかない」


「……」


 アルベルトは覚悟を示した。その行為は騎士らしい物だろう……しかし。私を匿った恩を返さずに見殺しは私には認められない。だが……どうすれば。


「迎えに来たわよ。ルビアちゃん」


 悩む中でエルヴィスが顔を出す。返り血はなく、ただただ血濡れた剣を持つ姉ちゃんにアルベルトが剣を向ける。


「アルベルト・シルバーライトだ。逆賊め」


「逆賊? 不当な拷問、拐いをしている家に言われたくはないわ……処刑もするでしょ?」


「……そうだな。だが、騎士としてここは譲れない」


 このままでは戦いアルベルトは死んでしまう。だが……どうすれば……あっ


「ルビア!! 動くな!!」


「ごめんね」


 私は気が付いた。拘束する腕輪もないのでそのままエルヴィス姉ちゃん側へ行けばいいことを。そして……アルベルトは失念していた。私が動けない令嬢とは違うと。私はアルベルトの脇を抜けてエルヴィスの後ろに回る。


「……ルビアちゃんのその拘束腕輪。解除されてるのね」


「姉ちゃん。そうです……その……お迎えありがとうございます」


「まだよ。逃げるわよ!! 妹が世話になったわ」


「……全く」


 アルベルトは頭を抑えて笑いながら剣をおさめる。何か、達観したような笑いに……彼の苦悩が見てとれる。


「案外すんなり迎えに来れたわ……ルビアちゃん。全員に撤退命令を出すわ」


「はい!!」


 エルヴィスは魔法で大きな音を響かせ、駆け出し……仲間の元へと私と共に駆け出す。私は……自由になることよりも迎えに来てくれた事を素直に喜ぶのだった。





 私は強行し奪還した。令嬢たちは拠点に籠城させ、次の日に私一人……ヒナトに捕らわれた状態で城へと赴いた。自首である。


 電撃戦で多くの混乱を招いた結果を見据え……私は手を打つ。私自身を使って。









 




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