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桜髪の乙女は貴族令嬢兄上様、弟を愛するために魔女、悪役令嬢へと堕落す。  作者: 水銀✿党員
聖なる母、道を示す父は堕ち、極悪な令嬢で火を粉を振り撒く
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新たな協力者


 私は父上とともに城の前へ向かう。父上の集金に付き添いによって入場する事が出来た。


「エルヴィス……鎧を着ていくのか」


「ええ、父上。私はやる気ですから」


「……妻によく似てる」


「母上の子ですから」


「血を色濃く継いだな」


「はい」


「……」


 父上は城の衛兵に入場許可証を見せ、城門を潜る。兜も着けず軽装の彼らは低級の衛兵だと思われた。知っている私には落ちこぼれである事も耳に入っており。衛兵落ちと言う言葉を思い浮かべる。


 故に……対応は非常に素っ気なくぶっきらぼうだ。だが、私は愚痴を言わず。そのまま城に入れた。


「……エルヴィス。他へは行くなよ」


「わかっております。父上……」


 私は城の中を覚えていく。父上の背中に付き従いながら、前もって手に入れた情報と照らし合わせ。静かに偵察する。すると……父上が止まり、私も同じように止まった。目の前にだれかが立ち塞がり父上を拒んでいるようだ。


「……どちら様ですか」


 父上の質問にその白い衣装の少女は答える。


「エミーリア・エーデンベルグと申します」


 その問いに私は父上の前へと踊り出た。





 城の一室。私は父上とはぐれてエミーリアの背中に付き従い。彼女の言われるままに空室へと導かれる。空室には椅子と机、それも簡素な物だけ置かれていた。


「人払いを済ませています。何もご用意できないことをお許しください。エルヴィス嬢」


「いえいえ、何の風の吹きまわしか……わからないですけど。その表情見るに……冗談でもないのでしょ」


「……」


 父上の前に現れた彼女は『相談したい』と申し、私は何を相談するのか気になり彼女についていったのだ。罠だろうが……切り抜ける自信はある。


「相談ごと……は……私は『敗北宣言』を出します……」


「敗北?」


「エルヴィス嬢に私は……敗けを認め……大人しく家に帰ります」


 なんとも偉い発言だと私は舌を巻く。これは思った以上に厄介である。


「なるほど。敗北者を痛める趣味はないから……手打ちと……中々考えたわね」


「えっと……そんな事は考えていないです。ただ……私はシルバーライトの家を『裏切る』つもりです」


「……庇護下でしょう?」


「監視され、自由恋愛を許されないの嫌なんです。エルヴィス嬢……エルヴィス嬢が私を暴いた時……私は多いに悩みました。振り向いてくれない男を追うのを止めます。だけど……私は自由はなく。何も始められないのです」


「……それが令嬢に生まれた者の人生では?」


「エルヴィス嬢にはそんな物がないように見えます」


「令嬢の落ちこぼれのための場所を作ったのだから……そうね。まぁ、実際は人材発掘も目的としてるけど」


「……私には自由が眩しく思えます」


「ちやほやされる人生も悪くないわよ? 『聖女』さま」


「……偽りを止めます。私は……私のやり方で変わって行きたいです。だけど……どうしたらいいかわからない。どうしたらいいと思いますか?」


「それ、私に聞くの……私に聞いてもねぇ……」


「それならば何故。この指輪をお渡しになったかを教えてください」


「それは私と言う者の圧力行為です」


「……小指に嵌めてしまってもよろしいでしょうか?」


「え、と……一番下から始まるわよ。それに……なんと言えばいいか……」


「覚悟します。姉を違えたと思う私に……力を貸してください」


「……メリットないわ」


「囚われている彼女と……ヒナト義兄さんの事は諦めます」


「場所……ルビアちゃんの居る場所ね」


「はい。この紙に残しています。それと……彼女は殺されてしまう。私には救う事はできません……」


「……やっぱりそうね。まぁいいわ。奪うまでよ」


 私は彼女から紙を貰う。 


「奪う……やはり、風の噂は本当ですか?」


「噂は本当かは、終わってから確認するといいわ。メリットないわよ。あなたにとって……悪事だから」


「……ないと言うのは私の事だったんですか?」


「ええ、そうよ。正直、私たちは私たちで悪を行う。それに噛むのはよろしくないわよ」


「……私は遅かったのでしょうか?」


「ふん、私が生きていれば話を聞いてあげるわ。それまでこの情報代でこの指輪をあげるわ」


 紙を取り、小さく丸めてポケットに隠す。朗報な情報に私のつけていた白金の指輪を一個置く。彼女はそれを受け取り……頷いた。


「……何をするかわかった。わかったからこそ……私はあなたに恩を売れることを考えるわ。その時……お返しをお願いします」


「……ええ、わかった」


 私はただ静かに。頷き部屋を出る。そのまま父上とはぐれたと言い訳を使い。城の中をふらふらと歩き回ったのだった。












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