定例会
定期会合に私は4人を集めた。メグル、ロナ、バーディス、ルビアである。深い座席のどっぷりと座り、4人は私の始まりの声を待つ。
「では、集まったので幹部会を開きます。バーディス、ルビア、メグル、ロナの順で発言を」
重々しい空気の中で各々が活動と状況を説明する。時に皆で考えを言い合い。私が最終の結論を言い渡し、会議はゆっくりと進行する。ロナが報告を言い終わったあと。私は状況の引き締めを行う。
「今は有利を維持してますが、引き続き相手の出方を見ながら対処をお願いします。私は監視されており、妹分であるあなた方が次の時代を生む……よろしく」
「「「「はい」」」」
綺麗な返事に私は満足し、最後に私から報告をする。
「では、私から報告を。先々日、敵方の主将と会談。結果……自分の意思では何をするべきかもわからない小動物でした。ですので……動くのはシルバーライトの令嬢に家主が上です。教会に関してもシルバーライト家の宗教のみと言うことです。質問は?」
状況を彼女たちに説明し、質問を答えたあと私は続ける。当たり障りのない大人しい質問に私は既に彼女らが動いているのはわかっていた。困った時だけ私に頼るつもりだろう。
「では、軍資金をお渡しします」
私は立ち上がり、金貨の袋を妹分に投げつける。自分の給料そのまま彼女らに投資をする。ロナに関しても同様で、彼女は名家だが。今は抗争中で資金繰りに苦しんでいるのだ。まぁ、彼女の場合はいわゆる借金である。
「それで今月分、開発費は別よ。ルビアちゃん」
「はい、わかってます。まぁこれも開発費になっちゃうかもしれないけどね」
「では、最後に親書が届いたので読み上げます」
「姉貴? 親書? 誰から?」
「女神から。意見書の返信よ」
「「「「は?」」」」
私は驚く彼女らに満足し、親書を広げて読み上げる。非常に丸みのおびた、かわいい文字だった。
「意見書、ありがとうございます。女神でございます」
「嘘手紙では?」
「エルヴィス気狂った?」
「エルヴィス姉さん、ここでおかしくなる?」
「姉ちゃん……怖い」
「指へし折るわよ、全員。女神は居るのよ……それも身近に私が保証する」
ビビり上げる4人に私は続けた。
「『老人会』エルヴィス・ヴェニスの意見書は痛く、非常に心苦しいものでした。自分の罪傷に塩を塗るような行為であり……ごめんなさい。やめて」
「姉貴……何を書いたんですか?」
「一つ、『転生者』を生み出したのは誰のせいや。二つ、『聖女』を野放しにここまで大事にしたのは誰のせいや。三つ、放任主義の結果、ここまで大きく大事になったのは誰のせいや。四つ、私に釘を刺す前に説明責任を放棄したのは誰のせいや」
「姉貴……それ。文句つけてます」
「エルヴィス……相手を責めてるわよ」
「そうですよ。最後に一文。書き忘れてます。『お前の過失だろ』と。助けてくれたんですがそれに余りある怠惰なので」
「女神に喧嘩売ってるよ。姉ちゃん」
ルビアが呆れる中で私は手紙に戻る。
「これは『老人会』のみの情報です。取扱気をつけて欲しい。『転生者』という存在はあります。それは前世の知識を有し、前世に比べ優位になる個別能力や力を持ちも存在。前世より幸せになる地盤を持った者たちです。昔から存在し、一時期世界を滅ぼす手前まで行きました。理由はどんな者でも必ず成功するからです」
「な、姉貴!?」
「エルヴィス!? どういうこと!!」
「エルヴィス姉さん!! あなたもしかして!!」
「姉ちゃん!!」
「黙って聞く。座りなさい。私は『転生者』ではない!!」
立ち上がる妹分を制止する。察した者もいただろう。
「『転生者』はその前世の物だけで強いのです。0から始まらず。1~10から始まります。また、その才能は生きる全てに有し。そして、多くの成功を手に入れて来ました。そんな存在が『転生者』なのです。そして……それはあなたにも出来るのです。どんな生き方をした人でも平等に」
「……」
私は結論に何とも言えない気持ちになる。4人の妹分もそれを聞きあわだたしく話をする。そう、考えるのだ。『今のまま生まれ変わって、新たな人生』と言う誘惑に。だが、ここの4人は今を捨てて転生したいとは全く言わなかった。それに関して私は嬉しく思う。妹分が幸せなのだから。
「では、静かに。女神様から注意があります」
静かになるのを待ち、静かになった時に私の女神からの注意を読む。明確な敵意を含んだ言い方だった。
「『老人会』のあなたたちが知ったものを理解出来たでしょう。私の罪がなんなのかを。そう、多くの者たちが『転移者』になりたいと誘惑を感じたと考えます。それ故に『教会』『老人会』『魔王会』のみの禁術として情報公開を一般に行ってはいけないと考えます。私も今を後悔し、自分の間違った事やいくつかの失敗した人生を捨てて新しく始めたいと逃げる事を思った事もあります。だが!! 私は逃げなかった。それは罪であり、あってはならないのだ。故に『転生』を試そうとするな、それは逃げ道であり。人生ではない。それは私が生み出した心の弱い失敗である」
「女神の失敗……」
頭が痛くなる話だった。そして……私が他の人に伝えると思われていたのが追記されている。
「これでもあなたが納得出来ても他の方々が納得出来ないなら伝えるといい。再三言う。覚えておくがいい。『転生』し与える快楽、快適、地位、名誉、人生は非現実的妄想で自分一人の個人主義、利己的な行為である。今を生きる者への冒涜、生まれる可能性たちへの冒涜である。私も、もっと昔にやり直したい事実がある。女神を辞めて人間として輝かしく生きたいとも考える。だが、生まれた私は悩み選択し、努力し、今を生きている。その世界を殺してはならない。世界を凍りづけにして止めてはならない。故に私はそれを罪とし罰する。我が大剣の錆は多くの自覚ある『転生者』から成っている。故に『転生』を考えるな……不幸にするぞ」
「「「「……」」」」
沈黙、読み終えたあとの何とも言えない後読感に私は手を叩いて音を出して場を仕切る。
「お開きです。各々の感じる事がありますが……女神は非常に嫌っているようです。こんな世界の理を知ったあなたたちは広めず秘密としてください。妹を殺したくはないわ」
「エルヴィス……エルヴィスは本当に『転生者』じゃないのね」
「バーディス……私は違う。私は悪魔に魅いられた。ただただこの世界の生きる者よ」
それだけを答え私は笑みを溢した。この世界の女神は非常に不平等で平等に心良くし、胸のペンタンドにキスをした。愛せる神でよかったと。そして……悪女を演じる後ろ立てが出来たと喜ぶ。




