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桜髪の乙女は貴族令嬢兄上様、弟を愛するために魔女、悪役令嬢へと堕落す。  作者: 水銀✿党員
聖なる母、道を示す父は堕ち、極悪な令嬢で火を粉を振り撒く
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教会にある老人の書庫


 私は特権がある。『老人会』しか入れない図書館への権限があるのだ。それを使用するために私は魔法使いに似つかわしくない。聖なる神の祈りを捧げる場所の総本山へと顔を出した。聖騎士、巡礼者、聖職者が多い中を私は進む。面白い事に『老人会』の証明を示せば入らせていただけるのだ。首に『聖職員』という札を吊るして廊下を歩く。


 何故か『魔法使い』を邪険しない風潮に違和感を覚えながら一人白い壁を撫でながら部屋を探した。『魔』は『聖』と対となるというのは常識であるのだが……だからこそ『禁術』を離す、封印すると言うのはわかるが。別に最上位がここであり、他の『禁術』は魔法使いの町図書館にもある。


 ブィン


「あった」


 手を当て、歩く中で偽装された壁を見つけ中へと進む。魔法使いの隠れ町のように偽装されており、視覚では認識できないようになっていた。魔法使いなら誰でも来れるぐらいだ。


「まぁ『老人会』でなければ入れませんけどね、ここ」


 一人言を言いながら、外れの廊下を歩き。そのまま……私は一つの部屋に来る。何もない空間の部屋に魔方陣が描かれており、私はふーんと鼻を鳴らす。


「魔法陣の中に情報を入れているんですね……さぁ、起動しましょうか」


 私はしゃがみ魔方陣に触れる。そして……魔力を流して驚く。膨大な量を流し込まないと起動しない物であり、体の中から魔力を絞られる。人によっては死を覚悟するほど大喰らいの魔方陣が輝き出し、紋章が浮かび上がる。


「これは……」


 私の手に刻まれた紋章に火が漏れる。そして……


「そこまでです。申し子……おさめなさい」


 首筋に剣を当てられる。気付かず、驚く中で優しい声をかけられた。


「魔方陣から手を離し、私と共に来て下さい。エルヴィス・ヴェニスのご老人」


「……その声は大司教様」


 聞いたことがある透き通った男の声に私は誰なのか納得する。教会の重役者であり、演説なども行う生ける伝説と言われた不死の方である。


 その不死は神に認められた者であると言われ、長い年月。教会のための動いている方だ。そんな方がわざわざ私を止めに来る。余計に隠しているものが気になってしまう。


「本当に……大変な残り火だ。さぁ立ってください」


「はい」


 私は魔法陣から手を離し、立ち上がり。ゆっくりと振り向く。白い肌に青年の姿の大司教は非常に魅力的な姿をしていた。彼は聖剣を鞘におさめて私に対して肩をたたく。香水の優しい匂いが鼻を撫でる。覚えのある匂いだ。


「本当に申し訳ない……知りたいでしょうがまだ早いんです。生で知るには早い」


「でも、人は知りたがりの生き物です」


「ええ……ですがその魔法陣で神話の世界を見られてしまうと困ります。その魔法陣は術者の知りたい事を追憶を夢として見ることが出来るため。危険と判断し……止めさせていただきました」


「簡単に入れるようにしてるのが悪いんです」


「簡単に入れませんがね。まぁ、見ないでいただきたい理由はもちろん深い事情があるのですよ。ご老人」


「……いつなら知る事が?」


「生で知るのはダメです。私が説明します。神話から生きている私が」


 大司教の青年が手を伸ばす。私はそれを首を振り、彼はそのまま背を向ける。


「こちらへ。ご老人」


「はい」


「……勝手に知られて暴れられても困りますのでね」


 彼に私はそのままついていった。廊下で多くの信者と挨拶をし……案内していただけたのは彼の個人的な部屋であり。入った瞬間に香水の匂いがし、私は覚えのある匂いに首を傾げる。いまさっきもした覚えのある匂いを思い出せない。


「香水……」


「ええ、アントニオ商会から。お話を伺うついでに買っているのです。部屋が臭ってはいけませんから」


「それで匂いに覚えがあったんですね。私が使う香水とは違うのですね。妹分の誰かが使っていたので覚えがあったんです」


「そうですか。いい香りです。死臭を隠すには」


「……死臭?」


「不死者ですから」


「えっと……それは神の奇跡では?」


「いいえ。女神様はそんなことはしてません。不浄の者であり……まぁいけないことです。信者を騙している状態ですね」


 私は非常に恐ろしい事実を耳にした気がする。これは、教会を揺るがす事実である。死霊使いとかを咎める立場の人なのにだ。


「えっと……そんな事を教えてもらってよろしいのでしょうか?」


「ご老人たちは皆さま知ってます。まぁ、彼らを監視する『老人会』でもあると言えばそうですね」


「……上は全部繋がってるんですね」


「はい。繋がってます。『魔』も『聖』も所詮は利己的か利他的かで立場の変わる物です。利他を『聖』。利己を『魔』と言えばわかるでしょう」


「えっと……はい」


 なんだろうか。私は世界を知り過ぎは身を滅ぼす理由を垣間見る。


「では、あなたに少しだけ説明の許可が出ましたので。質問を受け取りましょうか。アントニオさんでは発言を許されていない物も大丈夫です」


「……」


 私は唸り、悩む。聞きたい事と言えばこの能力と言うべき炎のルーツである。無詠唱で唱えられる魔法であり、変わった術である。


「この紋章の悪魔について聞きたいです。この世界にこんな悪魔はいません。そうです、皆が恐れるこの悪魔について知りたい。ある空想の本からこの術を学びましたが……悪魔らしくない悪魔の本でした。お答え出来ますか?」


「お答え出来ます。そして……絶対の秘密です。生を賭けてください」


 釘を刺される。言えば殺すと言うべき問題らしい。


「あなたが悪魔と言っている方は本当に悪魔です。悪魔ですが……種族であり。そして、皆が知る神話の世界で世界を炎を包んだ魔王です。皆の知るあの昔話の魔王です」


「!?」


 私は口を押さえる。驚く事はないと思っていた。だが、紋章の人が魔王と言われる最上の悪であり。非常に恐ろしくなる。そして……皆がひたすら隠そうとする事も理解し、唇を噛む。


 便利な力は本当は世界を破滅へと導く。最悪の力である。弟さえも飲み込む炎である。だが、違和感もあった。本当に悪の力なのだろうかと疑問に思うのだ。


「大司教様……皆さんはこの事を知ってたんですね」


「知るも何も……私たちは彼女のお陰で世界をまとめ。女神の元でまとまったのです」


「……ん?」


 私は何故か悪意を感じず。何処か恩師に感謝しているような言い方に違和感を覚えた。


「大司教……魔王は『悪』ですよね?」


「いいえ、女神様のご友人であり。魔王の汚名を着込み。悪意を一身に受け。女神様の元に信仰を集めた偉大なお方です。女神様のために『悪』と言う仮面を被った方です」


「……」


 私は頭を整理し、まとめる。女神は居るとわかる。教会で、出会った。紋章を見て、疑問が晴れる気がした。


「魔王はその……悪い方ではなかったのですか?」


「……女神の尊敬する女神であり。その方によってこの世界は豊かになり。なんと言いましょうか……本来は宗教として敬うべき方なんです。そう、隠しています。我々は。女神を悪として共通の敵である事で世界をまとめるために」


「……それじゃぁこの力は」


「『奇跡』です。『魔』の法ではなく。神話の出来事を再現であり。魔法と根本の発生から違います。私が使う教会の魔法と同じ物です」


 紋章を見る。綺麗な女性が描かれており、その人が本当に居た事に納得し。それを私は知る事で私に力が宿った。いいえ、女神にお借り出来たのだと知る。きっとこの女神は非常に深い愛を司るのだろう。だが、それを皆に知られるわけにはいかないのだ。


「こんなの、教えるわけにはいきませんよね。魔方陣で見る場合、世界を焼ける神話を見ることにより、奇跡を手にする事が出来るのですね」


「エルヴィス・ヴェニスのお嬢様。その通りです。なので見ることをやめてください。都市一つどころの騒ぎではないです」


「怖いです。見ません。こんな宗教も広めません。神話実現の力は世界終焉してしまいます」


 そんなものを私一人で背負えるわけがない。そして違う疑問を口に出す。


「……どうして。私に力を授けてくださったのでしょうか? それに凄く大司教様。お詳しいですね」


「それに関しては……女神様が気まぐれに懺悔室に入り、困ったのでご友人を呼び。ご友人が気に入りました結果です。これは本当に困った。無下にできませんから」


「……ははは、えっと。女神様って本当に身近に居るんですね」


「身近で世界を見つめてます。深く関わらずに生活しております。『老人会』に顔も出してます。罪を犯せば罰しております。死をもって」


 私は宗教感など、今まで信じていた全てが崩れていく。真実は予想よりも遥かに……違っており。何とも言えない気持ちが腹の底から浮かぶ。


「お話、ありがとうございました。これは墓まで持っていきます。この力も無闇に使うのをやめます。悪用せず、私の信じる物だけに使用します」


「はい、女神の友人方も喜ぶでしょう」


「……それにしてもいいのでしょうか?」


「なんでしょう?」


「女神様の選んだ『聖女』に敵対しております。大司教様もご迷惑でしょう」


「……ああ、彼女ですか。気にしないでください。全く、気にしないでください」


「大司教様?」


「彼女はお話をしましょうか……せっかくです」


 私は大司教様の暴露話に続きがあるのかと彼の話を待ったのだった。





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