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回想・兄上の断髪失敗


 その日がやって来た。私が思う最高の日である。弟のヒナトと毎日のように厳しい訓練は弟を立派な男へと成長を促した。それはもう私を越えた強さを持っている。


 そう、剣の腕なら私を越えて……連勝を重ねていく。自身の腕の限界が近いだろう。そして……それは断髪を決意させてくれた。


 長い髪を切り落とし、女装をやめて今日。私は俺に戻るのだ。


「ヒナト、居る?」


「はい、ニイさん」


 ヒナトの個人用に用意されたお部屋に私は入る。もちろん、ヒナトは目を丸くして私を、全身を見て首を傾げたあと……


「に、ニイさん?」ペタペタペタペタ


 私を確認するように肌をさわる。


「ヒナト……今日、あなたにね。私の秘密を教えます」


「ニイさん……どうして髪切ったの? なんで……なんで……」


「ヒナト、私の名前は実は……エルヴィスです」


「ニイさん?」


「エルヴィスと言い……」


「……」ポロポロ


「!?」


 私の目の前でヒナトが泣き出し、驚く。


「ヒナト!?」


「うっ……うぅ……髪長いの好きだったのに……どうして切るの……」


「ひ、ヒナト……そ、それは」


「うっ……うぅ……ああああああああああああああああああ!!」


 私はなんで大泣きするかわからないまま……


「うっごめん……ヒナトごめん……」


 私も泣き出すのだった。





「エルヴィス、ヒナト……なんで泣いてるの」


 お母さんがご飯を呼びに来たとき、二人で話をする。ヒナトと私で話が噛み合わず。母上は苦笑いをし……


「ヒナト、エルヴィスは男の子でお兄さんです」


「……おニイさん?」


「……エルヴィス。あなたの教育ちょっと……まぁいいわ。まぁゆっくり教えていきなさい。わかったエルヴィス」


「ぐす……はい……」


「……」


「さぁ、ご飯食べますよ」


 母上はそういいながら私の手を取って連れて行ってくれる。そう……私はそれから。髪を切るのをヒナトに伺う日々が生まれるのだった。















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