5話 異世界でお金を稼ぐには?
服装はなんとかカバー出来た。なるべく早く着替えたかったので少し不正にお金を集めても許して欲しい。
「この世界でお金を稼ぐのも仕事とかすればいいのかな?」
「う~ん、どうだろう?そういうの紹介している所に行けばあるかもな」
日本で学生がお金を稼ぐとなるとバイトだが、この世界ではどんな仕事があるんだろう・・・・・・
元々俺は各国の王から頼まれて、その報酬として大金を貰って生活していたから普通にお金を稼ぐ方法をあまり知らない。
冒険者が集うギルドなんかに行けば、俺たちでも出来る仕事ぐらいはあると思うけど。
「そういう所に行くと、大きな男の人が絡んで来るのがお決まりだよね!」
「そうなの?」
「もし、絡まれても私が守ってあげるからね!」
「お、おう」
まさか、こんなか弱そうな女の子に守ってもらう日が来るとは思わなんだ。まあ、お決まり通りになるとは思ってないけど・・・・・・
*
「おいおい!ここはお子ちゃまが来る所じゃないぜ!」
ふぅん・・・・・・本当に絡んでくるとは・・・・・・しかも、こいつ酔っぱらってやがる。
「はぁ、酔っぱらいは座って大人しくしてな」
「んだとぉ!良い度胸じゃねぇかてめっ・・・・・・あぐっ、ぐふぅ~・・・・・・」
胸ぐらを掴んできたので何かしらの形で反撃しようかと思ったが、男はいきなり目を見開くと力なくしなだれた。
「?」
俺、何もしてないぞ。と言うことは美咲?
まさかと思って辺りを見回すと、倒れていく男の背後からもの凄い冷酷な目をした美咲が男の事を見下げていた。
「新君、何ともない?」
「は、はい!」
「良かった~」
もし、怪我でもしてたら・・・・・・
気絶した男に再度美咲が蹴りを入れていたのは見なかった事にしよう。何故この男が気絶したかはご想像にお任せする。考えただけでもゾワゾワするからな。
「え、えっと、コンニチワ」
一部始終を見ていたのか、依頼を受け付けているカウンターのお兄さんは若干青ざめている。
「俺たちでも出来そうな依頼ってあるかな?」
「か、彼女さんお強いですし、魔物でも狩ってきてみては?」
バンッ!!!
「ひぃぃぃ!?」
「彼女、彼女なんて、そんな~!えへへ、えへへへ!」
ほぁぁぁ~、ギルドのカウンターがバキバキに・・・・・・なんちゅう握力じゃい!
「・・・・・・えーっと、俺たち狩りとかしたこと無いんだけど・・・・・・」
「へ!?冒険者の方では無いんですね!で、でしたら、こちらの簡単なものからお選び下さい!」
どうやら、冒険者の資格を持っていないと魔物を狩ったりする依頼は受けられないらしい。
美咲はさっきから上の空なので、俺が適当に依頼を選んでそのままギルドを立ち去った。選んだ依頼は薬草を採取する、お使いみたいなものだ。依頼の期限は明日までとなっている。
帰り際、入ってきたときの酔っぱらいが目を覚ましていたが、ギルドの隅で縮こまり目を合わせようともしていなかった。