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4話 お金がないなら募金をすればいいじゃない!

ダメです。

「ふふふん~♪ふんふん~♪」


 不気味な笑いが終わったと思ったら、美咲は鼻歌交じりに上機嫌になってスキップしている。彼女の中でなにがどうなったのかは分からないが、初めてのことだらけでワクワクしているのだろう。


「ねぇねぇ」

「何?」

「何でもないっ♪」

「・・・」


 ちょっと引くぐらい機嫌の良い美咲と来たこの街は、俺たちが召喚されたルーベル王国に属するスクレットと言う名前の街で、大きさは王都の三分の一ぐらい。スクレットも王都同様中々の活気に溢れている。


「私たちって結構浮いてるよね?」

「まあ、制服だしな」


 街いく人とすれ違う度に奇異の目で見られている。


「服でも買い換えるか」

「そうしたいのは山々なんだけどお金が無いよ」


 国王から貰ったお金は馬車代に消えてしまい、今二人のお金を合計しても一着買えるかどうかしかない。


「お金か~」

「私、体は売らないよ!もう捧げる人は決めてるんだから!そ・れ・はー」

「うん、そんな事微塵も考えてないから安心して」

「むぅ~」


 今のは最後まで聞くべき所だったのか?


 まあ、今一番に考えるべきはお金の調達方法だ。正直、お金を集める方法なんていくらでもあるのだが・・・・・・


 (あれでいくか)


 俺はこっそり右手の財布代わりの巾着袋に魔法・ユニセフを展開した。魔法名はこの際なんでもいい。この魔法は簡単に言うと特定の物を特定の場所に引き寄せる魔法である。今回はお金だ。ちなみに、視界に映っているところからしか引き寄せられない。


 未来ある子供たちの俺と美咲に、この街の人から少しずつお金を分けて貰おうという作戦である。

 

 恐らく、財布の中から百円位が消えてても気が付かないはずだ。俺だったら気が付かない。


「あれ~?何か落ちてんな~」


 落とし物を拾ったフリをしてみる。


「何々?」

「おぉ、見ろよこれ!お金がたんまり入ってるぞ!」

「・・・」


 この反応は・・・・・・警察に届けようとか言わないよな?それとも、演技が下手すぎて盗んだんじゃないかと怪しまれてる?


「これ、使っちゃ――」

「凄いよ!新君って運が良いんだね!」


 思ったよりチョロかった。催眠術を使う準備をしていたが、無駄になったな。


「持ち主の人に返そうとか言わないのな」

「え!?いや、それはー・・・・・・」


 あぁぁ~、がめついとか思われたかな?意外と性格悪い奴とか思われてないかな?


 でも、制服来てたら足が付いてそこから王都に通達がいって連れ帰らされたら・・・・・・夫婦になる夢が潰えちゃう!それはダメ!ここはどう思われようとこのお金を使って服を買わないと!


「ま、探すの大変だし有り難く使わせて貰うか~」

「うん!感謝だね!」


 適当な服屋に入って、麻のシャツとズボン、万が一のために顔を隠せるようにローブを買った。


「う~ん、わかってはいたけど可愛くない~」

「今はこれで我慢してくれ」

「節約、節約」


 何度もユニセフを使うわけにはいかないので、美咲の言う通りお金はなるべく節約していかなければ・・・・・・


(ふふっ、結婚資金を貯める恋人のようね!)


 そう思うといくらでも我慢できそうな気がしてきた美咲であった。



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