プロローグ 前の世界と今の世界
俺こと神宮寺新は半年前に異世界から日本で言うところの魔法で転移してきた。
それまでの俺は異世界で賢者など大魔導士などと呼ばれ、約90年間も戦い続けていた。
何と戦っていたんですか?と聞かれても答えられない程の色んな物と戦ってきた。人は勿論のこと大きな獣なんて生やさしい。そうだな・・・・・・漫画やゲームに出てくるドラゴンや魔王と言えばわかるかな?
奴らは倒しても倒しても新しく生まれて出てくる。こっちはどんどん老いていく一方なのに!
そもそも、おかしいじゃろ!何かある度に各国から呼び出され、90もの老人にドラゴンと戦わせるなんて!こちらの世界で例えるなら炎天下の中、90歳の老人に土木作業をさせている。しかも、一人で家を建てろと命じられる。と言った感じかのぉ~。ただ、その老人はハルクのようにムキムキではあるのじゃが・・・・・・
おっと、つい熱くなっておじいちゃんが出てきてしまった。
まあ、かくかくしかじかあってそんな世界に嫌気が差した俺は、30年かけて転移の術式を組み上げた。それと同時に若返りの薬も作り出すことに成功したのだ。
若返りの薬?なにそれ欲しい!と思う人は魔法を勉強して俺の居た世界へ転移してみるといい。惑星の名前は~~~何だったっけ?
にしても、日本とは素晴らしい国だ。日本だけではなく、地球自体も素晴らしい!俺が元居たところとは大違い。
その中でも、日本が一番だと俺は思う。
アニメ、漫画、ゲームという娯楽。魔法なんていうのは絵の中だけの世界。人々は皆優しい。
知っているかい?優先席というのを!老人が優先的に座って良いだなんて!あれを見たときは泣きそうになったなぁ~。
今の俺は16歳だから優先して座ることはできないけどね。
「お~い、聞いてるのか?」
「悪い悪い、ちょっと考え事を」
極めつけはこれ!青春!16歳がこんなに楽しいだなんて知らなかった。
16歳ぐらいの思い出と言えば、山の奥で獣を狩ってはサバイバル生活をしていた。
今と比べてどうだろう・・・・・・メクドゥナルドゥという全国共通のハンバーガーショップで友達と一緒にだらだらしている。
ああ・・・・・・なんて平和なのだろう。
「新?ちょ、何で急に泣き出したし!?」
「この瞬間の幸せを噛みしめていたところ」
「幸せ?気持ち悪いこと言うな!男同士でそんな、良くないぞ!」
「何を勘違いしている!」
こんな馬鹿な事をしているだけで一日が終わる。
日本に来た俺には勿論家族なんてものは居ない。家もないし、身分証を示す物も無い。あるのは魔法だけ極力使いたくは無かったが、多少は目を瞑って欲しい。
ちょーっと、催眠術をかけて身分証を作って入学の手続きをして、ちょーっと銀行からお金を拝借したぐらいだ。いつかちゃんと返すつもりだからセーフ!
流石に見知らぬ家族にまでとけ込むのは気が引けたので、山奥に小屋を建ててひっそりと暮らしている。
そんな神宮寺新は新たな世界での素晴らしい日々を送る予定だったのに・・・・・・
「どうしてこうなった・・・・・・」