第8話『捜し求めていた真の彩。』
Happy end...?
ツクヨミ「………ちゃん…」
ツクヨミ「ボっちゃん!!!!」
サクヤ「……?」
珍しく、ツクヨミに叩き起こされる…時刻は…まだ早朝の6:00だ……
ツクヨミ「早く起きてください!!一大事なんです!!」
サクヤ「なんだ…騒々しいな…」
ツクヨミ「い……イロハ様が…」
サクヤ「…?イロハがどうした?」
ツクヨミ「イロハ様が…何処かへ行ってしまわれました…」
サクヤ「は、はあ!?行方不明ってことか!?」
ツクヨミ「このツクヨミ、一生の不覚…真夜中に私めが休息を取っている間に、この家を抜け出していったようなのです…」
サクヤ「そ、そんな……」
“この事はどうか忘れて下さい”
サクヤ「!……まさか……」
そうか…そういう意味だったのか……
アイツは…『私と過ごした時間の全て』を忘れてくれって言っていたのか…!!
サクヤ「一刻も早く探すぞ!!ツクヨミ!!!」
ツクヨミ「わ…わかりました……ボっちゃんはどこを探されます!?」
サクヤ「俺はいつかの景色が良い丘の方へ行ってみる…ツクヨミは商店街を見て来い!!」
ツクヨミ「わ、わかりました…!!」
俺は着替えもせず、裸足のまま家を飛び出していった。
サクヤ「……何処だ!?何処にいるんだイロハ!?俺には……俺には……」
サクヤ「俺にはお前が必要なんだ!!!」
…しばらく走っていくと、緑の丘に辿り着いた。
…初めて俺が、イロハと出会った場所だ。
イロハ「…………」
サクヤ「い、いた…!イロハ!!!」
イロハ「!……」
サクヤ「なんで何も言わずに出ていっちまうんだよ!?心配かけさせやがって!……」
イロハ「サクヤさん…どうして……」
サクヤ「だ……だって……」
サクヤ「俺が…お前を忘れる事なんて出来るわけないだろ!!!」
イロハ「………」
サクヤ「俺もお前と同じ!!ずっと孤独だったんだ!…だが…お前がウチに来てから、全てが変わった!!!…俺は……初めて家族の温かみを知ることができたんだ!!!」
イロハ「……………」
サクヤ「だから…今更忘れる事なんて…」
イロハ「……サクヤさん…」
サクヤ「それに……家族というか……その……」
イロハ「……?」
サクヤ「………俺には……お前が必要だから……」
イロハ「……え?」
サクヤ「だ……だから…………」
イロハ「…………」
サクヤ「あああああああ!!!もうわかんだろ!!!察しろよ!!!俺はお前が好きなんだよ!!!!」
イロハ「…………え?」
サクヤ「何をやるにしてもお前が頭の中から離れねえ!!…色の無い俺はもう…完全にお前に染まっちまったんだよ!!!」
サクヤ「だ、だから……これからも……」
サクヤ「俺と一緒に居てくれないか…?」
イロハ「そ、そんな……本当に私なんかで良いんですか……?」
サクヤ「お前じゃなきゃ…ダメなんだ。」
イロハ「…………!」
(バスッ!!)
イロハは大粒の涙を零しながら、精一杯の力で俺を抱きしめた。
サクヤ「!!……」
イロハ「私も大好きです!!!サクヤさん!!」
そうか……これだったんだ。
本当に俺が探していたものは……
「千咲 彩花」…お前だったんだ。
天にも上るような気分だった。
後悔したくなければ……これ以上読み進めてはいけません。あなたは彼らの未来を知る必要はありません。