表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Color  作者: 九尾 蜥蜴
5/9

第5話『朱は交わり、赤となる。』

変……身!

サクヤ「お……おい……おま、お前……!?」

イロハ「…………?……え!?」


イロハ「あっあっあっ!!ご、ごめんなさい!!な、なんで私……!?」

サクヤ「う、うるさい!…一旦落ち着こう……まずは状況整理だ…なんでベッドに入ってきた…?やっぱり寒かったか…?」

イロハ「わ、わかりません!…私は確かに床で寝ていたはず……それで……何かに持ち上げられる感覚があったような……」

サクヤ「またツクヨミか…!!余計なことしやがって!!……いやでも…やっぱり客人を床で寝かすのもダメだよな……すまん、ベッドはお前が使え…俺が出るから。」

イロハ「い、いえ……あの……」


イロハ「別に…このままでも……」

サクヤ「な、何言ってんだ!?」

イロハ「だって、ツクヨミさんの言う通り今夜はいつもよりずっと冷え込みますし…それに、このベッドもかなり大きいじゃないですか!2人でも広く使えますよ!……多分。」

サクヤ「ま……まあそうだが……」

イロハ「体を守る為にも…ここは辛抱しましょう!……私は別に…不快ではないので…」

サクヤ「お、俺も……ツクヨミと2人でっていうなら絶対に御免だが………お前となら…別に。」

イロハ「アハハ…なら良かったです。」

サクヤ「………」


サクヤ(…よくよく考えたら…こいつの顔をこんなに近くで見ることは無かったな……意外と…)

イロハ「ど、どうしました…?」

サクヤ「いや…なんでも…」

イロハ「…そういえばサクヤさん、顔赤くないですか?…も、もしかして熱とか……」

サクヤ「え…いや、そんなことは無い…と思う…って、お前も顔赤いぞ!?お前こそ風邪ひいたんじゃねえのか!?」

イロハ「えぇ!?…いや、熱は無い…と思うんですけど…何故でしょうね…なぜか体が火照ほてっちゃって…やっぱり、こういう状況だからですかね……」

サクヤ「……え?」

イロハ「だ、だだだって…ど、同年代の男の人と同じベッドに入るなんて…緊張しないわけないじゃないですか…それにまるで……いえ、何でもないです。」


どんどんイロハの舌が回らなくなっていく…

相当動揺しているようだ……


サクヤ「?…ま、まあそうだな…それは俺もだ。」

イロハ「や、やっぱりそうですよね…にしてもどうしましょう…朝までまだ時間があるのに、すっかり目が冴えてしまいました…」

サクヤ「そうだな……話すネタはないが……」

イロハ「じゃ、、、じゃあ……」



イロハ「サクヤさんって…好きな人とか居るんですか?」

サクヤ「は、はあああ!?」

イロハ「いやあの!…定番じゃないですか!?こういう夜寝る前の会話で恋バナっていうのは…」

サクヤ「こ、恋なんて言われても……分かんねえよ……俺はお前としかまともに会ったことは無えんだ……」

イロハ「ず、、ずるいですよ…!それは…」

サクヤ「し、仕方ねえだろ!?…じゃ、じゃあお前には居るのかよ…好きな人ってのは……」

イロハ「え、ええと……」

サクヤ「…いる反応だな。」

イロハ「ハハハ…もう昔の話ですよ…」

サクヤ「…昔?そいつ、死んだのか?」

イロハ「い、いやいや!…今も元気だと思います…けど……以前私がいた高校の…同級生でした。」

サクヤ「へぇ…」

イロハ「ちょっと!興味なさそうにしないでくださいよ!私だって恥ずかしいんですから…」

サクヤ「あ、す、すまん…」

イロハ「…その人は何というかいつもはそっけない感じなんですけど…話すと反応が面白い人で…」


イロハ「……ちょうど、あなたのような人でした。」


サクヤ「…は?」

イロハ「な、なんか雰囲気が似てるんですよ!その反応とか…見た目も割と……だから、あの人を思い出して余計緊張しちゃってて……」

サクヤ「そ、そうだったのか…告白はしなかったのか?人間はそういう時、お付き合いの申し出をするもんだろ?」

イロハ「か…軽々しく言わないでくださいよ!…」

サクヤ「えぇ…」

イロハ「…したくても…出来なかったんです…最後まで…」

サクヤ「…後悔は?」

イロハ「少しだけ…」

サクヤ「そうか……」

イロハ「…だから、なんだか嬉しいんです…あなたとこうやってお話出来る事…まるであの人と居るみたいで…」

サクヤ「……」


サクヤ「…なら、俺がそいつになってやろうか?」

イロハ「え?」

サクヤ「だから、お前がその好きな奴とやりたかった事がもしあるなら、俺が代わりになってやってもいいぞって言ってんだ。俺はそいつに似てんだろ?」

イロハ「………」

サクヤ「…へっ、冗談だよ。一瞬マジかと思__」

イロハ「本当に良いんですか…!?」

サクヤ「あぇ!?」

イロハ「本当に…私に協力していただけるんですか!?」

サクヤ「ちょ、ちょっと待ってくれ!!マジで言ってんのか!?俺は赤の他人なんだぞ!?」

イロハ「なっ…!サクヤさんから言い出したんじゃないですか!!」

サクヤ「冗談に決まってんだろ!!まさか本気にするとは思わなかったから…」

イロハ「な、なんだ……」



…イロハは少し悲しそうな顔をする。



サクヤ「い、いや……その……俺もそれが嫌ってわけではなくて……」

イロハ「…?」

サクヤ「ほ、本当に俺なんかがそいつの代わりになれるのかって…なれる自信がなくて…きっと俺には務まらない、、、」

イロハ「い、いけます…だってもう……似てるというか、もはやほぼ一緒なんですもん!!内面もだし…ドッペルゲンガー以上の一致率ですよ…!!」

サクヤ「そ、そうなのか…!?…じゃあ…ほ、本当に俺なんかでいいのか…?」

イロハ「は、はい…引き受けていただけるのであれば……」

サクヤ「わ、、、わかった。俺にできることなら……やってやろうじゃねえか!」

イロハ「や、やった……そ、それなら…一つお願いがあるんですが…」

サクヤ「…何だ?」



イロハ「私のことは…これからは名前で呼んでくれませんか…?」


サクヤ「そ、そんなことでいいのか…?」

イロハ「はい…どうでしょうか。」

サクヤ「全然構わないが…えっと…」



サクヤ「これからもよろしくな、イロハ。」



そういうと、イロハは嬉しそうにフフッと微笑んだ。初めて会った時と同じ顔だ…俺もイロハにつられて、少しだけ頬が緩んだ。



イロハ「はい!こちらこそ!」



…夜はもう明け始めていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ