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第十九話 オークションへGO-GO

 商品を売りつくした俺は仕入れの前にオークション会場に寄ることにした。

 俺が売りに出そうとしているものはある意味問題だからな。


 エルフの弓なんてめったどころか全く手に入ることはない。

 しかも見た目は美しいし実用性もあるから求める手は少なくない。

 そして何よりも、本物であるかどうかだ。


 えっと、確かオークションには物の真偽を見分けられる人が最低でも三人在籍しており、一人が嘘をついて価値を上げ下げさせないようにするのを防止していたはずだ。

 全員がグルだったら何の意味もなさないけどな。


「えっと、これ本物だと思う?」

「本物判定が出てるよ」

「私もそう出てるわん」

「「「じゃあこれ本物だねってえええええ!?」」」


 最低人数でいたとはいえ真偽は判定してもらったようだ。

 あ、審議判定は個室で行っているよ。

 公に鑑定したら悪い虫がやってきたりしてトラブルが起きるのを防止しているからだ。


 こういうのはあまりいい話を聞かないからね。

 物の欲しさに盗みから殺人まで至るってケースもある。

 俺みたいな旅をしていて身元がはっきりできない奴は大体泣き寝入りだ。

 街の住人ならまだしも、外の人間にそんな義理はないのだから。


「それでオークションに出せますよね?」

「あ、うん。十分出せるよ」

「だけど、これを本当に売りに出していいの?」

「売ってから後悔する人も結構いるわん」

「どうせ俺には弓は使えないし、持つべき人が持った方がいいと思うんだ」

「「「なにこのいい人」」」


 なんか失礼だなおい、一応元勇者だぞー。

 まあ彼らからしてみれば知ったこっちゃないから咎める気もない。


「それじゃあ手続きを」

「この書類にある質問を書いた上でサインしてね」

「この品の所在も含めてだから嘘はなしよん」


 ああ、強奪した品だったらやばいからか。

 しっかりと対策までしてるんだなぁ。


 えと、まずどこで手に入れたかは…………秘密って書いて置いた方がいいな。

 手に入れた理由か、エルフを助けたら命のお返しといってくれた、と。

 次はどうして売りに出そうとしたか、使わないもん。

 そのあとは職業とか色々と細かいことを書いておしまいっと。


 嘘じゃなくて隠してることだから嘘発見器は無効でーす。

 少なくともいいことしてもらったから問題はないはず。


「なんかうさん臭くない?」

「でも、嘘という嘘はないみたいだよ」

「そうよねん、隠し事はたくさんあるみたいだけどん」

「じゃあ審査はオッケーという事で?」

「「異議なし」」


 よかった、割といい加減に書いたけど審査に通って。


「オークションは来月にありますがそれまで滞在するのですか?」

「げ、来月か。その時にはもう旅立ってるな」

「一応、立ち合いの元で行う手続きでよろしいですか?」

「欠席の場合は何等かに理由をつけることができます」

「競り落とされたお金はあなたの所属している商業ギルドの個人口座に振り込まれるわん」


 あ、そういえばそんなのあったな。

 今まで忙しすぎて金の出し入れする機会がなかったからすっからかんだろうなぁ。

 勇者としてのお金は信頼できの人に預けてるし、もちろん男だぞ?

 まあ、ループする前の話だったからある意味助かったともいえるよね。


 これ以上、伏線とか張られてたら俺はもう持たないぞ…………


「この品物は当店で預かります」

「厳重に管理しておきますのでご安心を」

「こんな業物、盗まれるような真似はしないわん。ねえ?」

「「「ここ数十年の犯罪は減少傾向だしね」」」


 妙に行きぴったりだな。

 1人オカマっぽいけど結構仲が良さげだしいったいどんな関係なんだろうか。

 まあ、それはどうでもいいことだから置いといて、これでエルフの弓は俺がいなくても売りに出されるだろう。


 後は仕入れして入金を待つだけだ。


「現時点でのオークションのカタログがありますが、必要ですか?」

「逐一更新されるのでオークション当日になると今日渡すカタログは古いものになってしまいますが」

「まあ、旅の暇つぶしにはピッタリかもよん?」


 あー、旅は基本的に何も考えず歩きっぱなしだからな。

 魔獣がわんさか湧いていた勇者時代ならまだしも、平和になった今じゃ思考停止で歩いても問題はない。

 というか、今が普通なんだよな、町から街に行く街道を通るたびに五回くらい戦っていたあの頃がおかしいだけなんだ!


「あの、どうされました?」

「あ、いや、何でもない。カタログを貰うかな」

「分かりましたー」


 紙を二十枚ほど束ねた本を貰い一人だけ個室から出た。

 もうこれ以上ここでやることはないから解散といった形だ。

 さて、それじゃあ仕入れしに行きますか。


 時間はまだあるはずだからじっくりと品定めしていこう。

 次の町に必要な商品を探すぞ、おー!









 〜●〜●〜●〜●〜








「はい、本物のエルフの弓です。間違いなく、そう鑑定しました」

「嘘に聞こえるかもしれませんが持ってきた人の名は勇者と同じでした」

「けれど、長く滞在するつもりはないらしいわん」

「はい、もしかしたら巷で話になっているあの…………」

「分かりましたわん、これから監視を強化しますわん」

「優秀な人物を見つけて引き入れるのが我らの役目でもありますから」


 オークションの審議判定を多なう三人にはもう一つの顔がある。

 商品となるものを持ってきた相手をどのような人物か見極め、帝国の戦力強化につながると判断した場合は引き込むというスカウトの役割をしている。

 実際に誘うのは別の人物だが、見極めるといった点で大物の毛皮を持ち込まれることが多いオークション会場では腕利きを見極めるために派遣されているのだ。


 この任務はどこぞの貴族が勝手にやっているのではない、皇帝直々の命令で兵隊を集めているのだ。


「これはあくまでも予想ですけど、あの人は本物の勇者じゃ…………え、勧誘はするなと?」

「そう言えば陛下は勇者が嫌いでしたね」

「なんであんなに嫌うのかしらん?そういえばあの天才君も勇者を嫌っていたわねん」


 あの天才、というのは現在この街の発達に貢献している人物のことを指すが割愛しておく。


 勇者が嫌いな皇帝と皇帝が嫌いな勇者、よほどのことがない限り混ざることがない彼らがまた交わるのはもう少し先のことである。


皇帝と勇者、水と油に呉越同舟という特異で最悪な組み合わせ。

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