表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Trival Tweet  作者: fulldrive
序章 つぶやき
5/20

Danger Anger



霧の街


模倣犯は


泣き叫ぶ




死屍累々、という表現が正しいだろうか。

目の前には山のように積まれた死体がある。

何も皆僕が殺した訳では無く、(読み手である君が信じてくれることを祈る)既に死んでいたのだ。


僕は手にした拳銃を握りしめたままそこから動けなかった。

正確には動くことが出来なかった、とでも言うべきか。


何故ならその死体達が僕の足をしっかりと握しめていたのだから。

死後数時間も経っている死体は死後硬直が凄まじく手を足から離そうとしてもビクともしない。


仕方ないので拳銃でその手をブチ抜くことにした。

ずごん、という轟音と同時に僕の足をきつく握っていた手が(5本の指を撃ち抜いたこの肉塊を果たして手と呼べるのだろうか)あっさり地面に落ちた。


どうやらとんでもない力が加わっていたらしく、握られた跡が痣になっていた。


足が動くかどうかぶらぶらと振ってみて異常なしと判断した僕は現在、自分が置かれている状況について考えることにした。


僕は『Trival Tweet』が示した対象がいるとされる目標地点に向かったはずなのだが、そこには死体の山(一部はまだ生きていたが)しかなかった。


そして死体を一通り見た感じ目標は居なかった。

目標が既に死亡していたら計画の変更を余儀なくされるところだったが(というかどっちみち殺すのだが)、その心配は無いようだった。


それにしても臭い。

何がって勿論この死体の山だ。


見た感じ死体は人体にかなり有毒な物質を分泌し始めていることは明らかだった。

早くここから離れた方がいいだろう。


そして僕は死体の足元にピストルサプレッサーが転がっているのを見つけた。

抵抗を試みたのだろうか、薬莢も少しだけ転がっている。


だが、それが無駄な抵抗だったのは目に見えていた。


そしてよく見ると死体(♂)達は陰部を切り取られていた。

僕の中で犯人像が(少し探偵を気どりながら)見えてきた。


恐らく彼らを殺したのは女性、もしくは異常同性愛者であろう。

陰部を切り取ったのは女性の場合、犯された恨みや不倫(これはないと思うが)とか色々あるだろう。


異常同性愛者の場合、想像したくもないが多分意図的に男に『女性器』を作ろうとしたのではないだろうか?...何かそれどこかで見たことあるな...まあ、気のせいだろう。


そして、遺体にはかなりの数の切り傷が見受けられた。どれも傷口が綺麗にぱっくり空いていて何とも痛々しかった。


普通のナイフではこんな綺麗な傷はつかないだろうからもっと鋭利な...サバイバルナイフとかそこら辺だと考えるのが妥当だろう。



さて僕は立ち上がり、拳銃ベレッタにサプレッサーを付けてその場を離れた。

彼らを殺した犯人こそが『Trival Tweet』が示した目標だと確信したからだ。

『霧の都市のバネ足切り裂き魔の模造品』

と、つぶやきには記されていた。


バネ足の切り裂き魔、とはかの有名なジャック・ザ・リッパーより数十年前から存在している切り裂き魔の通称である。

だが、伝説上彼は火を吹きかけたり、ナイフで刺してくるぐらいで積極的に命を奪おうとはしない。

ナイフで刺したとしても急所を外していたのだろうか?


しかし、今回のこの模造犯は人を殺しまくっている。

ここ一週間だけでも数十人が犠牲になっていた。





僕は溜息をついた。

生粋の英国男子である自分がなんで数百年前の切り裂き魔の模倣犯なんて危険な相手を追わなきゃならないのだろうか?


全てはあのサイト、『Trival Tweet』のせいだ。

あのサイトのとある兵士の手記を見た僕にとあるメールが送られてきた。


差出人の名は『JACK』

日本でいう「名無しの権兵衛」みたいな感じだ。


メールにはこう書いてあった。


『世界の矛盾に挑戦してみないか?』


と。


僕は意味がわからず、取り敢えずそのメールを放置した。

タチの悪いのウィルスでも仕込まれていたらそれこそ面倒なことになりかねない。



翌日、同じ差出人からのメールが届いた。


メールには位置情報とメッセージが入っていた。


位置情報は僕の家からそう遠くない駅。


メッセージは、


『そこの〇〇〇番のロッカーに今のお前に必要なものが入っている』



とのこと。



僕は対して忙しくもない身(不労所得者なんでね)なので仕方なく半信半疑でその駅に向かった。


家から10分、目的の駅のロッカー前に着いた。


とっとと済まして帰りたかった僕はロッカーから漂っている異臭にも気づかずに思いっきりロッカーを開けた。



ごろり、



え?、思わず僕は呟いた。





生首、それは人間の生首だった。


それも僕がよく知っている人物の生首だった。



思わず僕は嘔吐した。

変わり果てた肉親の姿を見て、僕は気が動転してしまった。


嗚咽と吐瀉物が止まらない。

胃酸で喉が溶けてひりひりする。

最悪だった。

何で僕がこんな目にあわなきゃならないんだ?


やっと両方とも収まってきたので生首を見ないようにロッカーの中身を確認する。


そして普段手にしないようなベレッタと血で書かれたメッセージがあった。



『USE THIS GUN TO KILL THE WORLD』








ここから僕の長い長い物語が始まる





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ