交渉
今日はついに異界言語を【贄】として捧げる時がきた
今まではこっちの言葉が不便だったから手放せなかったけど、知識の置き換えは大体済んだ
もう日本語は必要無い…訳ではないけど、交渉材料としてはこれ以上の物は無いだろう
それでは、祈りLv5発動!
幻影と夢幻の神ライティ様、お聞き届け下さい!
「遜った物言いの割に、随分と不遜な事を考えているようだな?」
えぇ、そうかも知れませんね
ただ、あなた方神々にとっても、悪い話では無いと思いますが?
「随分大きく出たな」
えぇ、コレは一種の攻略法というか真っ当なズルみたいなものですからね
知識の才能のお陰か、初歩的な会話なら今なら直ぐに身に付くと思います
多少無口で片言でも、会話さえ成立してしまえば、不信がられず高Lvエルダーライン語を【贄】として捧げるループが完成です
モルドからの勉強は2、3年かかりましたが、本体である俺1人でです。16体の分身を使い、書きとった板で勉強すれば、あながち夢物語ではないでしょう?
実際に一度試してみましたが、法術の天賦を別の神様から頂きました
これを繰り返していけば、きっと俺は才能の塊になれると思います
「ふむ…ならば何故そうしない?」
幾つか理由が有ります。法術の天賦を頂いた時、あまりこの攻略法をおおっぴらにやるなと釘を刺されました。
また一番欲しかった法術系の才能を一度で手に入れられたという事は、運気以前の問題で神々がこの攻略法を望まれていないと思いました
「随分と物分かりが良いな?」
えぇ、ここが神々の統べる地というのは嫌という程に理解してます。
神様方がその気に成れば、如何様にもなるとも
であれば、売り物は高く売れる時に売るのが鉄則でしょう
言葉を一から覚え直すのが不便だというのも有りますが、今後を見据えたら、ここで捧げてしまって、恩恵を頂いた方が得策と思いました。
「ならば貴様は何を望む?」
強気にお願いしまして、分身を出来ることでありましたらLv8に上げて頂きたいです
「ならぬ」
即答か。Lv4から倍のLv8はやっぱり欲をかきすぎか。ただLv7、ここは引けないな
「ほう随分と強気だな」
えぇ、強気ですよ。こんな特殊な技術はこの世界に有りませんからね。
最初の祈りを捧げた時、ミィミ様がさり気なく捧げろと持って行った時、少し違和感を覚えました。
そして、エルダーライン語を学び、その違和感はある確信に変わりました。
自己鑑定でたまに真っ当な鑑定が出た時確認しましたが、今の俺のエルダーライン語技術Lvは8以上です。異界言語Lvは6。
これはこの世界の摂理の何かに抵触してるのでは有りませんか?
「貴様、随分と小賢しいな」
ええ。理解した上です。ただこちらも必死なんだとご理解頂ければ幸いです。あなた方が俺に何をさせたがっているかは分かりませんが、年々、焦燥感が増していくのです。
それに備える為、今直ぐにでも力が欲しいんです……
スローライフ求めてたのに…何でこうなったんだか……
「ふむ…薄々は何かを感じ取っているか。ならば良いだろう。貴様の希望を叶えてやる。ただし、そのまま願いをかなえてやっても、それはそれで早晩、人界での化け物が誕生する故、制限はかけるがな」
やっぱり、すんなりと願いは通らないか…
「今後の分身を用いた技量の伸びは……ふむ1/4としたかったが…1/2としよう。ふん、貴様の思考を読んでるのだ。妥協点くらいは分かる。この勝負、貴様の勝ちだ」
なんとか……本当に…なんとか……願いが叶った!!!




