閑話:母の憂鬱
ウチの子は変だ
とても賢いのに変な子だ。
昔は夜泣きばかりで手の掛かる子だったけど、お喋りが出来る様になったら、もの凄い早さで知識を吸収している。
きっと知識の神様に愛されているのね
神様に愛されていると言えば、2歳の時、あの子は一度死にかけた。
それが何とか持ち直したと思ったら、皆には内緒とか言って、突然あの子が2人になったの
神様の試練を頂いたらしく、どうやらそれを乗り越えたみたい。
お母さん、嬉しくって村中の奥様達に自慢しちゃった
あの子が加護を頂いたことは、この村の誇りよ。きっと次の世代を担う村の中心に成るわね
あの子は気付いてないみたいだけど、村の大人達はあの子が2人にも3人にも成って家事の手伝いしてるの、微笑ましく見てるのよ?
それにしてもやっぱり変だ。
「母さん、俺は地球人の生まれ変わりで、本当は父さんと母さんの子じゃないんだ」とか言い出したのよ。
私がお腹を痛めて産んだのに、あんまりバカな事言うから、頭叩いて泣かせちゃったけど
ホラ吹き爺の村長にはウチの子に与太話を吹き込むなとキツく言っておいたわ。
加護を得た将来の期待の星に、余計な事するなって、夫と一緒に詰め寄ったら、濡れ衣だって喚いてた。私が小さい時にも今の村長は、「自分は月から降りてきた月の国の民だ」って言ってた。
子供じゃない私はもう騙されないわよ!
ウチの子は泣き虫だ
ちょっとした事で直ぐに泣く。昔から夜泣きの多い子だったけど、4歳の今もあまり変わってない
凄く良い子で、いつも私を助けてくれるんだけど、村の子の中では少し浮いているかな…
いつも泣かされてるのよ?
年上にも年下の子にも。
男の子なのに、困ったものね…
早く泣き虫を卒業して、その賢さや優しさで村を担う立派な大人になってね、レイ。
お母さん、応援してるわよ




