出会いから家族へ
新しい小説を書いてみました。
これからの予定というかシナリオすらない、見切り発車。
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「おじさんも私を殺しに来たの?」
「いや。俺と家族にならないか。」
それが、俺とマツリの家族の始まりだった。そして俺の国造りを決意した始まりでもある。
俺達のいる星カミアイは、その名の通り“神に愛される”星だ。この星に生きる全ての人が、何かしら神から愛されている。
よく晴れ男と言われる人がいるだろう。この星では“晴れ”に愛されていると言われるのだ。そして自分が何に愛されているのかは、協会に行けば教えてもらえる。本当に神と交信しているのかは知らないが、境界にあるオーブに触れると、レベルと内容が表示されるのだ。
そして、その愛は他人の愛で相殺できるのだ。なので【晴れ:レベル2】と【雨:レベル1】がいたら、【晴れ】の効果が発揮されるというわけだ。どうしてこんな面倒な恩恵があるのかは、まだ誰も解明できていない。あるものはしょうがない。
そして俺は【破壊:レベル5】だ。俺が触れる物、関わるものは何でも破壊してしまうのだ。俺が最初に壊したのは、母親だ。俺が産まれた時は、まだレベル1だったようだが、元々身体の弱かった母は、俺を産んだ後に死んでしまった。
俺はその後、危険な愛を受けた子供が入る施設で15歳まで育てられた。15の成人になったその日に、俺は施設からも追い出されてしまったのだ。そして俺のレベルはどんどん上がっていき、今ではレベル5。もう素手で人に触れることすら出来ない。
そんな俺は、ある少女の事を聞きつけた。その少女の事がどうしても気になって、“凪の大平原”までやってきたのだ。なんでもその少女は、“死”に愛されたそうだ。産まれた瞬間から、病気、育児放棄、事故、他殺、なんでもかんでも死に関わる事に合ったそうだ。幼少期まではレベルが低かったそうだが、今ではレベル3まで成長しているそうだ。なので他人の愛では、相殺する事も出来なくなってきたらしい。
だから、ただただ広く、何もない“凪の大平原”のど真ん中で、自活しているそうだ。
“凪の大平原”。延々と続く草原が続き、雨も降らなければ、風も吹かない。北の大山脈から流れる巨大な大河と、そこから別れる数多の清流だけが、この大平原で目に見えて流れるものなのだ。
そんな何もない大平原で、沢の横にポツンとテントと畑が見て取れる。最寄りの街から1月もかかっての、ようやくの到着だ。
畑で作業をしていた少女が、俺の姿を発見して、俺がやってくるまでジーっと観察してくる。
「こんにちは。お嬢さん。」
「おじさんも私を殺しに来たの?」
「いや。俺と家族にならないか。」
少女の姿はみすぼらしいものだった。襤褸切れと言っていいほどの服を着ている。髪はボサボサ。腕や身体も栄養が足りてないのか、ガリガリだ。
そんな少女に向かって俺は手を差し伸べる。もちろん手袋をはめている。だが長時間の接触は禁物だ。だから少し握手するくらいの気持ちで、手を出したのだが。
「ふつつかものですが、よろしくおねがいします。」
何かの本で読んだんだろう。棒読みだ。
そして、そのガリガリの手で俺の手をしっかりと握ってきた。逆に俺の方が、怖くなって手を引きそうになるのだが、彼女の手を振り払う気にはなれなかった。
俺は初めて自分から、家族と言う物を手に入れたのだ。そして、この子や、他に悪い愛に愛された人を保護できるような国を作ろうと、決心するのだった。
本当はもっと盛りたいのですが、一話目はあっさりと行きたいと思い、この分量です。
これからの彼らの人生を見守って頂けると嬉しいです。
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