拒絶にいじめに・・・・・・・最悪!?
私は転校生に少しだけあこがれていた時期があった。自分が転校することなんて考えたこともなかった当時、私は転校してきた女の子や男の子がクラスのみんなに囲まれてちやほやされている姿がすごく羨ましかった。自分も転校して、実際にその状況になると、確かにすごく心地のいい思いをさせてもらえた。それに、友達もすぐにできた。むしろ、その友達作りのためにはその時間はとっても大事なんだけど……。
「……」
小休憩。授業と授業の合間の十分間休憩に、私はお手洗いにも立ち上がることもせずに、じっと座っていた。一人っきりで……。
誰も話しかけてくれない……。みんながみんなそれぞれの友達と夢中に会話をしている。その中に転校生の、とかそう言う話題ですら挙がって来ない。もしかして、私無視されてる!?
や、やばい、こ、こここ、このままじゃ……。私の瞼の裏にありありとその光景が浮かんだ。今日の昼休憩、私は女子トイレに入っていき、固く閉じられた個室で一人寂しく弁当を貪っている!!
だ、ダメ! そんな状況に落ち着くのなんて絶対に嫌!! 寂しく一人ぼっちでトイレ飯なんて……。そ、そうだ。これは私にとって試練なんだ! 今までは転校しても誰かが手を差し伸べてくれて何とかなっていたけど、これからは自分の力でなんとかしなくちゃいけない、その最初の試練なんだ! よ、よぉし、絶対に、絶対に昼休憩に話しかけるぞ!!! 絶対に一緒にお弁当食べてやるんだ! そう決心してから、授業が始まった。
授業の最中や、昼休憩までの他の休憩のときに私はどのグループに交ぜてもらうかを考えていた。うーん、すごくやんちゃそうな男の子たちはなんだかみんな同じ一塊のグループを作っているみたい。でも、男の子たちの中に入るのは緊張するし、ちょっと怖いかも……。女の子は結構何個かグループができているみたい。その中でもおとなしそうなのは……、無い。みんな髪の毛がナチュラルな色してないし……少し、苦手なタイプかも。で、でも、必ず話しかけてグループに入れてもらわないと……。
昼、私は授業中に考えておいた交りたいグループに声を掛けることにした。というより、結局どこが一番いいか、なんて話してみないとわかりっこないから、女の子のグループに片っ端から声を掛けてみることにしたんだけどね。まず最初は、あのグループ。窓際の席で四人くらいで喋っている、三つの窓際の席に集まっている、その真ん中の席の子がリーダーっぽく話の中心にいる。よ、よぉし、声を掛けるぞ……。
私が席から立ち上がると、ぎぃと僅かな音が立つ。緊張しながら少しずつ震える足で一歩一歩前に進む。私が通ると、その近くにいたクラスメートたちがちらりと私の方をみた。な、なんか、何しようとしているんだこいつ、みたいな感じに見られているようで、少し怖い。で、でも、頑張らなくっちゃ。
目的のグループの傍で立ち止まると、彼女たちも私の方へ目を向けた。
「……なに、なんか用?」
喧嘩を売るようなとげとげしい言い方に腰が引けそうになる。でも、ここで止めちゃだめ、勇気を出して言わないと……。
「あ、あの!」
ぎろり、と私の方に鋭い視線が集中する。それが四方八方からして、私は怖気づいてしまいそうになる。
「……」
中でも、グループの中心にいる、金髪のサイドテールの女子が一番キツイ視線を黙って向けていた。
怖気づいて、ここで何も言わないのはダメ……私は勇気を振り絞って言った。
「わたしと一緒に、お弁当を食べてください!!」
気付けば、お辞儀をしてすっ、とお弁当を差し出していた。
「「ぷっ、あーーーはっはっはっはっは!!!!」」
クラス中から笑いがどっと沸いた。
ああぁ、そりゃ笑うよ……。冷静に今の自分の姿の滑稽さ、まるで告白でもするかのように九十度に腰を曲げて、ラブレターを渡すみたいに弁当を差し出している。あぁ、また失敗しちゃった。
恐る恐る顔を上げてみると、グループの四人の内、三人も大笑いしていた。笑ってないのは真ん中のリーダーっぽい子だけだった。
「……なに、あんた、あたし等とダチにでもなりたいの?」
彼女の言葉にうんうんと頷く。
「えー、ミトッチー、こんなやつと仲良くすんのー? 私はやだなー、なんかいい子ぶってる感じするしー」
「い、いい子ぶってるって……」
た、確かに、私は他の子みたいに派手な格好とかしゃべり方とかしてないけど……。
「そうそう、こんなさ、髪も黒い奴と一緒に居たくないってさ」
「だよねー、今時清楚系気取るとかあり得ないっての」
グループの他の子らも、みんな私と一緒に居るのを嫌がってるみたい。また、ダメだった……。
「じゃあ、ここで染めちゃえばいい話じゃない」
「……えっ?」
サイドテールの女の子、ミトッチがそう言うと、鞄の中から取り出した箱を私の方に向けた。
「それ……ヘアカラー?」
「そう、今すぐにこれで染めてきてよ。そしたら、あんたとダチになったげる」
「優しー、ミトッチめっちゃ優しいじゃんー」
「やったね、転校生、さ、ちゃっちゃと染めちゃってさ」
み、みんな、私が染めるって話になってるけど……。
「それ、校則違反……」
「ぶっ、バッカじゃないのあんた。そんなあっても無くても変わんないもの、気にする必要なんかないでしょ?」
校則が心底どうでもいい事のようにミトッチは言った。
「あ、で、でも、そんな、勝手に染めるなんて、お母さんにどう説明すれば……」
「今、言った? お母さん、って言った? うわー!! チョー受ける!! この年齢でお母さんって、マザコンかってーの!!!」
私の言葉にグループの他の男子の一人がそう言って笑い出した。それにつられて、男子たちみんなも笑い出す。
「わ、笑うことじゃないでしょ!」
私は恥ずかしさに顔を紅潮させながら言った。
「ったく、うっさいなぁ、あのバカジュンは……で、どうなの? 染めるの、染めないの?」
「あっ、うぅぅ」
「友達、欲しいの、欲しくないの?」
欲しいに決まっている。でも、髪を染めて、その姿でお母さんになんか会えない……。どうしよう、どうしよう……。
「はぁ、返事遅い」
私が悩んでいるとミトッチが切り上げるようにそう言った。あぁ、やっぱり友達、できなかった……。
「代わりに、パン買ってきて」
どうせ、私なんかと友達になんて……
「……うん。って、ええええ!?」
「なに驚いてんのよ」
「だ、だって、それだったら簡単にできるし……」
「でしょ? だったら買ってきて。焼きそばパン。一階の購買部にあるはずだから」
これで友達ができる!
「うん! 分かった、ちょっと待ってて」
「あ、その前に、その弁当、置いてきなよ。邪魔になるでしょ?」
「うん、わかった。ありがとう!」
私はにこにこと笑いながらミトッチに弁当を託すと、すぐに廊下に飛び出した。
やった、焼きそばパン買ってくれば、友達ができる!
意気揚々、有頂天になって階段を下りているときに気付いた。
「あ、これって、もしかしてパシリ?」
しかも、お金渡されてない……ま、まぁ、大丈夫だよね。きっと教室に戻ったらお金も返してくれるはずだし……。とりあえず、私は一階にある購買部を目指して階段を駆けおりていった。
―――そんなこと簡単にできる―――そんな風に思っていた時が、私にもありました。それは前言撤回しなくちゃダメみたい。
「おらああああああああ!! パンよこせえええええええっ!!!!」
「あああっ!! テメェ良くも俺のパンを!!!!」
「お前らは食べるパンがなければぁああああ、水道水を飲めばいいじゃないのかああああああああああ!!!!?」
殺伐としてる。購買部の前では男子生徒たちが入り乱れて大乱闘をしている。あ、パンが飛んでる。パンが陳列されているのは、この集団の向こう。私、パン買って来れそうに……無い。っていうか、この学校、不良の人しかいないのぉぉぉぉ?
ど、どうしよう。このまま手ぶらで帰っていいのかなぁ、でも、約束しちゃったし……。
「叶恵ちゃん」
「誰?」
私は呼ばれて振り返ってみるとそこには……あれ? 知らない人だ。しかも、普通に学ランを着ている、至極まっとうそうな生徒だ。
「あの、えーーーと……」
もしかして、昔の友達かなぁ、んー、でもこの顔全然思い出せない。普通の、取り立てて特徴のない、普通の顔……、あ! 髪が黒い!!
「うーーーーん……あの、誰? どこかで会ったこと……」
「あ! ごめんごめん、もしかして、いきなり叶恵ちゃんって呼んだから誤解させちゃったかな。慣れなれしすぎたね」
彼は愛想よく苦笑いを浮かべた。
「じゃあ、初対面の人?」
「うん、というか、同じクラスではあるんだけどね」
「えっ!!? ご、ごめんなさい、全然気が付かなかった……」
「いいよいいよ、どうせ、僕はこの学校じゃあ普通の人過ぎて、地味で影が薄くて個性の強いみんなの中に埋もれてしまっているんだよ……」
しゃべっていくたびに彼はどんどんテンションが落ちていった。
「あああああ! そそ、そんなにネガティブにならないで!!」
「あ、ごめんごめん、僕すぐに悪い方、悪い方に考えていっちゃって……でも、それが僕の唯一の個性なのかもしれな……」
「ああああああ!! またネガティブに入りかけてるよー! ……え、えーっと」
「ん? どうしたの?」
「君の名前、まだ教えてもらってなかったから……なんて呼べばいいか分からなくて」
「あ! ごめんごめん、自己紹介がまだ済んでなかったね。僕は大樫作治、よろしくね叶恵ちゃん」
「うん! こちらこそよろしく、作治、くん」
向こうも名前を呼んでくれているから、私も名前で呼び返すと、咲治くんは少し照れくさそうに笑った。
「女の子に名前で呼んでもらうの初めてだ……」
「そうなの?」
「全然女友達に恵まれなくて……やっぱり、僕なんて無色透明よりも薄い存在感だか……」
またネガティブ!!? と、止めてあげないと……。
「あ!! そうだ、ところで、どうして声を掛けてくれたの?」
そう聞くと、彼もすっと暗い表情を変えてくれた。
「ん? そうだ、そうだった。焼きそばパンが欲しいなら、こっちにおいでよ」
作治君に連れられて、私はあの集団たちと少し離れた場所に立った。
「ここに居ればいいの?」
「うん、もう少しすれば……あ、来た来た、あっち見てごらんよ」
作治君が指さす方を見てみると、あのパンオブバトルロアイヤルの上空。そこから、ぽーんとパンが一つ飛んできた。
「うわっ!! パンが飛んだ!!!??」
それがこちらに向かってくる。しかも、ラップで包まれたそれは、焼きそばパン!!
「っと、もう少しこっちかな」
と、作治君が少し動いて位置をずらすと、見事にキャッチした。
「作治君すごい!! ここに来ること知ってたみたい!!」
「うん。だいたいはどこに何が飛んでくるかが予測できるんだ。ほら、あの乱闘をしてる人達ってしばらくするとパンのことなんかすっかり忘れて、乱闘することに夢中になっちゃうから、いろんなところにパンが飛んでいくんだ」
「へぇ、作治君って賢いね」
「賢くなんかなよ、慣れているだけ」
「慣れてる?」
「うん、僕、いっつもパシリやらされてるから……」
あ、作治君またネガティブ入りそう!!
「そ、そうなんだ。大変だね……でも、作治君をパシリにするなんて……」
きっとその人、未だに子供みたいないじめっこなのね。
「いや、大丈夫だよ。さっきも言ったでしょ、慣れてるから」
そう言う作治君はちょっぴり情けない気もした。でも、彼はすごく心根が穏やかで優しいんだろうな、争い事とか苦手そうだし……。
「さ、そんなことより、お会計済まして早く戻らないと水戸さん、怒るとすっごい怖いよ」
「水戸さん?」
「ミトッチって呼ばれてる子。水戸このみさん。この学校には番長がいるんだけど、その番長と仲が良くって、この学校の女子の中では結構発言力もある方の子なんだ。彼女ににらまれていじめなんか受けると、大変だよ」
「そ、そうなんだ」
水戸さん、ちょっと怖いなぁ。私、一番話しかけちゃいけない人に声かけちゃったのかも。
「さ、お会計に行こうか」
「うん」
作治君に連れられて、ちょっと購買部を離れたところに行くと、白い割烹着を着たおばちゃんがいた。
「おばちゃん、これお願い」
「はい、百十円ね」
あ、それ私が買うものなのに、作治君がお会計を済ましちゃった。
「はい、これ」
それを作治君は私に向けて差し出した。
「そんな、これ作治君が買ったものでしょ?」
「いいよ。それに水戸さんからお金貰ってないでしょ? 持って行けば多分返してくれるとは思うけど……もし、お金を返したいんだったらその後でいいよ」
作治君にそう言われて、私は焼きそばパンを受け取った。
「分かった。後でお金返すね」
「うん。じゃあ、僕は買わなくちゃいけないものがあるから。購買部に戻るね」
「ありがとう、作治君」
作治君と手を振り合って、いったんここで別れた。後で教室に戻ってきたら、もう一度お礼と、お金を返さなくっちゃね。私は一足先に教室への帰途についた。
「焼きそばパン、買ってきたよ」
私は教室に戻って、すぐに水戸さんにパンを差し出した。
「へぇ、やるじゃん」
水戸さんはそう言うとパンをかすめ取った。ちょっとだけ乱暴だった。
「……何? 他になんか用?」
「ほ、他になんか用って」
私が立ち尽くしていると、彼女は不機嫌そうに私をにらみながら焼きそばパンを食べ始めた。
「あ、あの、できたらお金を返してほしいなって……」
「はぁ? 何言ってんの、返すわけないじゃん」
「えっ! だ、だって、私あなたに頼まれて……」
「頼みはしたけど、お金渡して買って来いって言わなかった以上、金を払うのはその頼みを飲んだアンタでしょ? 誰も金貸すなんて言ってないし。返せって言われても返せないっしょ」
「だよねー」
他の子たちが笑った。そ、そんな、それじゃあ作治君にお金を返せない。パンを返してもらおうにも、もう食べかけになっちゃってるし……。
「あ、それとねー、お弁当おいしかったよー」
「そうそう、さすがマザコンのお母さんが作った弁当って感じなの? 結構イケてた感じするの」
「……えっ!!!?」
そう言われて、水戸さんの机の上を見てみれば、私の弁当が開けられてて、中身は何一つ残ってなかった。
「そんな、ひ、酷いよ!!!」
「別にー、私らで預かったもんだしー、っていうかー、パン買ってくるの遅いからお腹すいちゃってたしー、じゃあ、アンタが悪かったってことよねー」
「私、悪いところなんか……」
「別にさ、一食ぐらい抜いたって死ぬわけじゃないさ? ならもう水に流そう、「友達」だしさ」
「友達」そう言われて、私はすごく悲しい気分になった。
「もうあたしたち、友達、でしょう? なら多少のことは水に流さないとね」
パンを食べ終わった水戸さんはにやにやと笑いながら私を見ていた。最初っから、私が話しかけた時から、ずっとこうしようって決めてたみたいだった。
「うぅ、ぅぅ」
そんなの友達でもなんでもないよぉ。そう思うと涙が出てきた。
「あれー? もしかしてこいつー泣いてんのー?」
「うわチョー受けるの!」
「アンタ、泣けば許されるって思ってるさ?」
「やばっ、チョーガキ臭っ。折角だし、写メとってやろうよ。私、泣けば許されるって思ってる、超ぶりっ子ガキ女の転校生ですって広めようよ」
「それいいねー、さすがミトッチー」
「や、止めてよ!!」
私は彼女たちに背を向けた。もう、やだ……。
後ろを向くと、廊下側のドアの前で男子たちが帰ってきていた作治君を取り囲んでいた。
「なぁ、俺は普通のメロンパンじゃなくてチョコチップメロンパン買ってこいって頼んだはずなのによぉ、なんでふっつーのメロンパン買って来てんだ?」
「ごめんごめん、ちょっと持ち合わせが足りなくって」
「はぁ!!? だったら他の連中から金奪って買ってこいよ! 勝手に他のもんで代用してんじゃねええ!!」
ぼこっ、と作治君のお腹が殴られた。持ち合わせって……もしかして、私にお金を貸してくれたせいで……私のせいで、作治君が殴られた。
私のせい。折角お母さんが初めて用意してくれたお弁当が食べられてしまったのも、作治君が殴られたのも、私のせいだ……。私が、友達が欲しいからってあの子たちに話しかけたから……。
「ごほっ、ごほっ」
お腹を思いっきり殴られた作治君は膝をついて咳き込んでいた。彼を楽しそうに殴るのは、金髪で坊主頭の背の低い男子。もう、止めてよ、作治君はそんな殴られるようなことしてないのに……。悲しむ私の背にケータイカメラのシャッター音がした。
「ゲットー! 題して、いじめに悲しむ乙女」
「な、勝手に撮らないで!!!」
振り向いて言うけど、彼女らはむしろげらげらと笑い立てる。
「いいじゃんいいじゃん、「友達」なんだしさ」
「違うよ、あなたたちなんかとは、友達なんかじゃ……」
気付けば教室中のみんなが笑っていた。私か作治君をあざ笑っている。いじめて、いじめられている人たちを笑っている。酷い、酷いよ……。
「ったくよぉ! テメーはいい加減俺達に従わない勝手なことをする癖を直せって言ってんだろうがよ!!」
怒声がして振り向くと、さっきの小さい男子が、跪いた作治君に向かって、持ち上げた近くにあった椅子を叩きつけようとしていた。
「さ、作治君!!!」
がつん、と大きな音が……しなかった。
「……テメェ、大神!!!!」
「……あ、あれは」
ワンちゃんだ。いつの間にか教室から姿を消していたワンちゃんが帰ってきて、振り下ろされようとしてる椅子を掴んで受け止めていた。
「な、なにしやがる大神!!」
小さい男子が椅子を持った手を引こうとするが、ぷるぷると震えるだけでちっとも動かない。ワンちゃんが片手でつかんでいるだけで、彼はちっとも動けないでいた。
「……それ、俺の椅子だ」
「……はぁ? って、うわああああああ!!」
ワンちゃんが椅子を掴んでいた小さい男子ごと高々と持ち上げた。
「離せよ、早く」
「……ははははは、はい」
ワンちゃんがそう言うと、小さい男子は手を離し、ぼてん、と落ちて尻餅をついた。誰もがそれに見入っていて、しん、と静まり返る。
そして、ちょうどワンちゃんが椅子を元の場所に戻して座ったときに昼休憩終了のチャイムが鳴った。
先生も入ってきて、みんなしぶしぶ自分の席に着く。良かった、とりあえず、悪夢はいったん去ったみたい。
でも、私はこの時間に感じた悲しい思いを拭えそうにはなかった。ほんの一時しのぎに授業が始まっただけ。はぁ、もう私この学校でうまくやっていける自信、ないかも……。
思ったより字数減ってない?