一話
「チート性能無し……か」
まあそうだろうな。俺は別に特殊なわけではない。
『日本で死んだ30歳以下』の人間はここに来る。つまり、俺と同じ境遇の奴は山ほどいるってわけだ。
それと、元から天界に居て働いてない奴らもな。
周りを見渡す。
緑の平野。
蒼い空。
所々にいる動物型モンスター。
「ゲームだなぁ……」
ここら辺のモンスターは初期ステータスでも倒せるらしい。
だが、非アクティブなので、今は手を出さないに越したことはない。
しかしまぁ、この光景は幼女が言ったとおり、『限りなく現実に近く、限りなくゲームの世界』だな。
俺は幼女に言われたことを、確認する。
ーーシステムコマンド:ステータス/オープンーー。
心中で唱えると、教えられたとおり、手元に半透明のウィンドウが出てきた。
まず、レベル。
次に、装備欄。
そして、熟練度。
さらに、スキル。
最後に、ステータス、が表示されている。
…………ゲームだなぁ。
ーークローズーー
ウィンドウが消える。
次に、落ちている木の棒を拾う。
ーーシステムコマンド:インベントリ/オープンーー
インベントリが開かれる。
そして、ウィンドウに木の棒を入れるように、押し込むと、木の棒は消え、インベントリに表示される。
そして、木の棒を指先でクリック。
赤い枠で、木の棒が囲まれる。
すると、横に新しいウィンドウが開かれた。
ーーーーーーーーーー
アイテム:木の棒
ーーーーーーーーーー
だけ表示された………………。
何に使うんだよ。
ーーシステムコマンド:スキル/オープンーー
羅列する文字達。
ーーーーーーーーーー
〈第一紅魔法〉
〈体術〉
ーーーーーーーーーー
何と二つだけでした。
ーーシステムコマンド:コミュニティ/オープンーー
ーーーーーーーーーー
フレンド
なし
パーティ
なし
所属ギルド
なし
ーーーーーーーーーー
ぼっち…………。
一応、大体のシステムコマンドを確認したが、わかったことがある。
どうやら、システムコマンドは、ショートカットできるそうです。
例えば、インベントリ。
右手の人差し指を、空中で横にスライドさせる。
開かれるインベントリ。
そして、開いた時と、逆の向きでウィンドウの端をスライドさせる。
閉じるインベントリ。
まぁ、こういうわけです。
一応、現状把握は終わった。
とりあえず、街へ行くとしよう。
俺は、左手の人差し指と中指で空中をノックする。
開かれたマップを見る。
「近い……かな」
僅か1キロ程。俺はモンスターに危害を加えないよう、気をつけながら、街までの道を歩み始めた。