プロローグ
テンプレ。
こう言われるものは多くあり、ネット小説なんかじゃ、『死後に異世界転生する』、はテンプレだと思う。
読んでる側は、『これもか……』と思う人もいれば、『世界のシステムが面白いな……』と思う人もいる。
前者は、テンプレを好ましく思わないか、単に異世界転生が嫌いなのかもしれない。
だが、後者は違う。
前者の一歩先を行き、小説の中身を見て、感想を言っている。
後者は、小説の中身を見ているわけなのだ。
そして俺は後者である。
さぁ、ここまでモノローグして、言いたいことは一つ。
俺は死んだ。
目が覚めた。
目の前に羽衣をまとった幼女。
寝ているはずが、地面を感じない肉体。
周りには、他に誰もいない。
この状況。
Q:これはテンプレ来るか?
A:知るか。
………………ヤベェ、思考が逝ってる。
いや、本当に死んでるのか。
しかも、脳なんてない霊体みたいな状況で、思考もクソもあるのか?
…………まぁいい、考えるだけ無駄だ。
「おはようございますっ」
不意に、声がかけられた。
慌てて、周りを見……ようとして思い出す。
目の前に幼女がいたんだった。小さすぎて忘れてた。
本人に聞かれたら、罵倒されるレベルのことをさらっと考えると、幼女に挨拶を返す。
「おう、おはよう」
うん、挨拶っていいね、気持ちがいい。
見るからに大人用の羽衣を、無理して着てる感が半端ない幼女は、無理して微笑を浮かべ、問いかけてくる。
「ご気分はいかが?」
違和感がヤバイ。
だってあの表情と容姿で、あの口調。
死にかけの老体で、熱血系のセリフ言ってる感じ。わかる?
まあとりあえず、幼女をからかう。
「死体に気分聞くって、あんたネクロマンサーか?」
女神の服に、ロリの容姿、職業ネクロマンサー。
シュールだなぁ、と思っていたら、ふと思う。
悪く……ない……。
………が。
「ち…違いますっ。女神ですっ」
ちっ、女神かよ。
「そのまんまだな」
「あっ、やっぱり女神に見えますかねぇ?えへへ」
ニヤニヤしながら、少女は答えた。
「それで……ここは天国か?」
「あっ、はいそうです、あなた様は死んで、ここに呼ばれました」
そして、本題を思い出したように、言葉を続ける。
「そして」
幼女は前座もなく、事実を告げる。
「あなた様には、神が作った、『セカンドライフ』というゲームに挑戦していただきます」
…………………………はぁ⁉︎
「ゲーム⁉︎異世界転生じゃなくて⁉︎」
「はい。異世界転生が何かは知りませんが、行うのはゲームです」
待て待て待て待て。ゲームってなんだよ。VRMMOだってか?だけど俺は死んでんだぞ?
「ゲームって何だ?どこでやるんだよ?俺は死んでんだぞ?」
俺の立て続けの質問に、幼女は淀みなく答える。
「ゲームとはRPGで、霊体に擬似的な肉体を構築し、行っていただきます」
そして、残り二つの質問に、幼女は簡潔に答えた。
「死者だから行える、天界での第二の人生」
そこで一度区切り、俺に指を向け、突きつけるかのように言葉を告げる。
「それが『セカンドライフ』です」
人に指差しちゃだめだよ。
「………………なるほど、苦労してんだな」
幼女はゲームが作られた原因を、俺に話した。
要約すると、神は死者が天界でグダグダしてるのが、不毛に思えて、生まれ変わるチャンスを与えたらしい。
それが『試練』だったら、まだよかったのだが、それは『ゲーム』だったそうだ。
そして、ゲームで死ぬと魂が消され、存在が消える。
「それでもって、ゲームは強制参加……か」
「神が、「ゲームにしたのは、面白いからだ」とか言ってましたよ」
明後日の方向を向きながらも、明日を見据える幼女。
俺はその幼女に、敬意を示す。
そして、
「それで、ゲームはどうやってやるんだ?」
とりあえず質問した。