新たな出逢い
部屋の電話が。 千尋は延長を、 友紀は帰ることにした。不満気な千尋、 渋々店を出る。 車に乗り込む。 車内には沈黙が…。 家に、 頼りない足取りの千尋を友紀は見送った。 背中にそっと おやすみと 小さく手を振った。 小さくなる姿を 見送りながら…。 友紀は毎日メールした。千尋が泣いていないか
心配だった。
相変わらず
返信は遅い。
「体の調子が…。」
心配で、
居ても立っても
いられなかった。
気がつくと
友紀は車で
1時間ちょっとの
千尋の家に
向かっていた。
途中食べ物を買った。
果物、ゼリー
口当たりのよさそうな
物と、娘さんの
朝ごはんになりそうな
パンを買った。
千尋の家に着く。
部屋番号が
わからない。
メールをする。
「111…
倉庫にお願い…。」
部屋に行くことは…、
出来ない。
わかっている。
いびつな関係。
倉庫に買い物袋を
入れた。
2台の自転車、
ウェイクボード、
ごみ袋…
千尋の生活を
垣間見た。
友紀は車で
1時間ちょっとの
家路についた。
逢いたい気持ちを
無理に押さえて。
そんなことが
何度かあった。
その日も
逢いたい気持ちを
殺し
家路につこうと
車を走らせた。
携帯が鳴る。
千尋だ。
何かあったのか?
いつもはメールが
あるだけ…。
「どうかした?」
「今どこ…?」
「スーパーの…。」
「家に来れる?
娘と3人で
お酒でも…、
行かない?」
友紀は驚いた。
嬉しかった。
千尋に逢える。
娘さんにも…。
急いで
引き返し
千尋の家に。
夜に逢うのは
出逢った
あの日以来…、
本当に嬉しかった。
更に娘さんにも
逢える。
胸が高鳴った。