藤原何某物語
掲載日:2026/04/25
むかしむかしのあるところ
日本の田舎の片隅に
藤原何某ありけるに
童故郷に恩感じ
帰そう帰そう考えて
されど童は資金なく
思ひ巡らしその末に
皆に知識を与えんと
知を満たさんと歩けり
やがて藤原その人は
久しく離れし故郷の
ありの様々思い知る
そこは陰湿村八分
習わし習慣満ち足りて
人々心は腐り果て
もはやここには何もない
それを見聞きし藤原は
胸中炎に燃え上がり
今にも村を消しさんと
燃やし尽くすと考えて
松明その手に突き進む
されど藤原その足を
ふと停止して考える
焼いて燃やしてその後は
生まず生まれず何も得ず
新たな闇を生むのみと
悟りし藤原改める
ゆえに藤原その人は
炎を捨てて学を取り
村を変えんと志す
藤原童を集めては
読み書き教え学教え
理を説き知を説き心を説き
疑うことの尊さ伝えり
童若者目を開き
老いし者も気がついて
己の無知さを顧みる
時は巻いて戻らずに
なおも進んで進んでいく
しかし閉ざされ開けぬ地
わずかながらに火は灯り
人と人との間にも
言葉の炎は灯される
されども闇は根を張りて
藤原揺らいで狼狽す
風に揺らぐ灯りのごとく
今にも消えんと小さくなる
それでも藤原その人は
灯りを灯して回りては
心にとある言葉を書く
灯り生む時その人は
その強さに薪をくべ
轟々燃えるその火こそ
かつて手に持つ炎より
偉大で壮観堂々と
人を惹きつけ変えていく
静かに村を変えてゆく




