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確率が見える男

掲載日:2026/03/14

「確率が見える男」

男は街中で考え事をしている時に周囲を見ると、

いつも数字が目に映る事に気づいた。

周囲の人間が着ている服に書かれたナンバー。

電光掲示板。

周囲の会話に含まれた二桁の数字。

[18][33][68]⋯。

やがて男は気づく。

これは確率を表示しているのだ。

「何もない空間に数字が現れる事はない」

「確率は毎瞬変動する」

「100%は存在しない」


やがて男は最愛の女の死亡確率を知ってしまう。

男は病院の廊下に立っている。


ベッドの上には、あの女性。


近くのモニターの上には相変わらず数字が浮かんでいる。


生存確率7


医者が言う。


「臓器提供者が見つからなければ…助かりません」


男は周囲を見る。


医者が助けられる確率3


何もしなければよい確率1


奇跡が起こる確率2


男は静かに呟く。


「…やっぱりか」


彼は知っていた。


ずっと前から。


彼女と出会った日から。


浮かんでいた数字。


彼女が助かる確率93


ただし条件付き。


男が臓器提供する確率93



男はまた周囲を見る。


5年以内に死ぬ確率99


ずっと疑問だった。


なぜこんなに高いのか。


今ならわかる。


男は医者に言う。


「…俺の臓器を使ってください」


医者は驚く。


「しかし、それは…」


男は笑う。


「大丈夫です」


彼の視界に数字が変わる。


生存確率7


生存確率92


手術の日。


男はベッドの上で天井を見ている。


彼女が幸せに生きる確率94


男は小さく笑う。


「悪くない確率だ」


手術室のライトが消える。


数ヶ月後。


女性は退院する。


病院の外。


空を見上げる。


なぜか胸が温かい。


理由はわからない。


ただ不思議と、こんな気がする。


「きっと、大丈夫」


その瞬間。


空のどこかに、数字が浮かぶ。



彼女が幸せな人生を送る確率95



そのとき。


後ろから声がする。


「すみません」


振り向くと、一人の男が立っていた。


二人が幸せになる確率100


おわり

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