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死霊術師の魔獣狩り ~虚弱ネクロマンサーと脳筋剣士は荒野を征く~  作者: 結城 からく


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2/2

後編

 真正面から突撃するアーサーに対し、ムヴォルアは鋭い牙で噛み付こうとする。

 アーサーは軽々と跳躍して躱すと、頭上から大剣を叩き付けた。

 ところが分厚い刃は弾かれてしまう。

 並大抵の魔獣なら一刀両断するその斬撃は、ムヴォルアの額に小さな亀裂を付けただけだった。


「くそっ、硬すぎるだろうがっ!」


 着地したアーサーは仰天する。

 そこに怒りの咆哮を上げたムヴォルアの魔力ブレスが放たれる。

 目を見開いたアーサーは咄嗟に退避行動を取る。


「やべっ」


 極太の光線が一直線に荒野を削り飛ばす。

 軌道上すれすれの地点にアーサーは倒れていた。

 ブレスが掠めたことで左半身が消し飛び、大地に内臓を撒き散らしている。

 それでも大剣だけはしっかりと握っていた。


「畜生め、アンデッドになると回避が疎かになっちまうなぁ……」


 ぼやくアーサーの肉体が高速で再生していく。

 ロイムからの魔力供給によるものだった。

 瞬時に復活したアーサーは、遠くに立つロイムに手を振る。


「すまん、助かった!」


「まったく……脳筋すぎるよ……」


 小声で愚痴るロイムは、手から漆黒の粘液を出す。

 その粘液は、これまでに彼が殺してきた魔獣の魂を練り固めたものだった。

 無数の魂が混ざり合ったそれに確固たる自我はなく、術者のために動く魔術生物でしかない。


「ほら、餌だよ。行っておいで」


 ロイムの言葉に従って粘液が飛ぶ。

 粘液はムヴォルアに付着した瞬間、数万倍にまで拡大して絡み付いた。

 動きを妨害されたムヴォルアは激しく暴れる。

 しかし、粘液はゴムのように伸びるばかりで破壊できなかった。


 粘液は徐々にムヴォルアへと浸透し、奥底の魂に干渉する。

 そうして生命力を吸収することで、肉体を損傷させることなく死を届けようとしていた。

 一分ほどでムヴォルアが倒れて痙攣を始めた。

 そこにアーサーが容赦なく襲いかかる。


「よっしゃあ! ナイスだ、ロイム! とどめは俺が貰うぞォッ!」


 アーサーは魔力を大剣に注ぎ、限界まで圧縮する。

 そして斬撃に乗せて放った。

 渾身の一撃はムヴォルアの首を刎ね飛ばした。

 勢い良く転がる生首を見て、アーサーは大喜びでロイムのもとへ戻った。


「ふふん。どうだ! 見たか! 最高にかっこよかっただろう!」


「えっ、いや……別に僕の術だけで倒せたんだけど……」


「おいおい、大剣でバサッと斬り殺す方がロマンがあるじゃねえか!」


「そうかなぁ……?」


「お前もいつか分かる時が来るさ。それより早く帰ろうぜ!」


「うん、そうだね」


 頷くロイムが死霊術を発動する。

 首を断たれたムヴォルアが起き上がり、頭部は粘液で元の位置に固定された。

 アンデッド化したムヴォルアは静かに歩き出す。


「こんな大物を持ち帰ったら、街の連中も驚くだろうなぁ」


「め、迷惑じゃないかな……」


「剛岩竜は捨てる部位なんてねえぞ。武具に建材に食糧、魔術触媒……とにかく便利なんだ」


「それなら追加報酬も貰えそうだね」


「ああ、もちろん! 向こうが渋ったら剛岩竜を暴れさせようぜ」


「さ、さすがにそれは不味いよ……」


 暢気に駄弁るロイムとアーサーは、仲良く帰路に就いた。

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