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魔界対策本部

 俺は目を擦った。


 しかし、やはり目の前にあるのは壁ではなくどうやら廊下のようである。

 扉が何枚かあり、廊下の突き当たりには1番重厚感のある扉があった。



 そして……

「おかえりぃ。ラズさん」

 そう声をかけてきたのはあの時イオラと呼ばれていた司書だった。


「あれ、増えた……」

 イオラさんはそう言いながら、俺たちを見て目を見開いた。


 ラズリス姉さんはイオラさんに事情を説明している。


 聞けばここは魔界対策本部、通称魔対と呼ばれる機関の本拠地らしい。

 姉さんによると、失踪した兄ちゃんも所属していた機関だ。


 そしていつの間にか、俺とトルビーが所属する流れになっていた。


 ……あれ? 

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 俺は思わずそう言った。


「俺の所属は百歩譲ってわかるんですけど、なんでトルビーまで入る流れになってるんです?」


 トルビー本人は図書館に入った時から心ここにあらずと言った様子だ。

 勝手に決めていいのか?


 あ、でも……


「あ、やっぱなんでもないです……」

 俺がそういうと姉さんは、あははと笑うと続けた。


「私がずっとライムに付いて活動するのも無理だろうし、ライムも、仲良しな子がいた方がいいでしょ。何よりルコール先生の推薦なら間違いないだろうし」


 なんか思った答えと違ったがとりあえずいいか。


 ここで姉さんの話の聞き役にまわっていたイオラさんが口を開いた。

「いくらラズさんでも無理だよ」


 姉さんは魔対のトップという訳ではないようだ。


「だ、か、ら。本部長に会いにきたんだよ!」

 と姉さん。

 そんなに甘い考えではないとでも言いたげだ。


「それなら……明日だね……」

 イオラさんが苦笑いで言う。


 すると姉さんはハッとして言った。

「そうだ!めちゃくちゃ寝るの早いんだったあの人!」


 え、もう寝てるの?まだ夕方……5時過ぎだよ?

 いくらなんでも早いのでは……?


「また明日来るよ……お騒がせしたね」

 姉さんはそう言うとさっきとは違う言葉を唱えた。


 今度はいつの間にか図書館のエントランスに戻ってきていた。


「今日は解散だね。とりあえず明日の朝、もう一回あそこに行こうか。あ、さっきの場所はくれぐれも内密にね」


 俺とトルビーは頷いた。



 というわけで翌日早朝、俺たちはまた、魔対本部に来ていた。


 まだ少し眠い。


 昨日の廊下を少し行くと突き当たりに扉があった。


「失礼します」

 姉さんが3回ノックし入る。俺たちも続いた。


 そこにいたのは優しそうなおじいさんだった。

 白くなった髭を長く伸ばし、書斎の机のような立派な机にかけていた。


「ラズリスか。と、誰だい?」

 見た目とは反してハキハキとした声だ。

 本部長に相応しい威厳を感じる。


 姉さんは俺のことをリエルの弟、トルビーのことをルコール先生の推薦だと紹介した。


 そして……

「2人を魔対のメンバーとして、認めて頂けないでしょうか」

 と言った。


 するとおじいさん、もとい本部長は少し考えた後に口を開いた。

「では、君たちを少し試させてもらおう」


 試す?


「君たちは中央魔導学校の生徒だろう。3日後にテストがあったはずだ。そこでライムは筆記、トルビーは実技で学年一位をとりなさい」

 この短時間で俺は筆記、トルビーは実技に強いことを見抜いている。

 ちなみにトルビーは「筆記で0点のあいつ」だ。

 やはりこのおじいちゃん、只者ではないようだ。


 俺とトルビーは、はい!と答えた。

 図らずも声が揃った。


 俺には兄ちゃんを助けるという目的があるが、昨日の今日で、トルビーはなんでこんな乗り気なんだ……?


「では頑張りなさい」

 おじいさんがそう言うと、いつのまにか図書館に戻ってきていた。


 ふと時計を見ると始業時間5分前だった。


「「やっべ!」」

 俺とトルビーは走って学校へ向かった。



 ○●○


「私でも実技1位はとれないのに……」

「キミは加減が上手くいかないだけだろう?」


 本部長がそう言ってくれる。私は頷いた。


 事実ではある。


 私、ラズリスは学校では少し力を抑えている。11歳の時の初めての実技で出した水魔法、あの時は全力だったけど、今はあれくらいなら寝転がっていてもできる。


 ということで加減しているのだが、魔力の出力調整が苦手な私には難しい。

 風属性魔法も繊細な魔力操作を必要とする魔法のため苦手である。


 魔導師として克服しないといけない点であるが……



 少し考え込んだ私に本部長はニコッと笑ってこう言った。

 

「フルパワーより加減する方が難しいのもよくある話だろう。これからだよ。それにあの2人ならきっとやってのけるよ」


 本部長がこんなにも期待しているのか。

 あの2人、やっぱ只者じゃないな。


 

 ○●○


「テストを受ける?!」

 放課後、俺とトルビーは担任の先生と話していた。

 留学してすぐのテストのため免除の予定だったらしいが、本部長が受けろと言っていたしな。


「先生としてはキミたちが自信をなくすことにつながるからやめた方がいいと思うんだが……」

 そんなに難しいのか……?


「でも、受けてみたいんです!」

 トルビーが目を輝かせている。

 こいつ、こういう時の言いくるめが上手いからなぁ……


「……編入すぐで、しかも課題が3日前に発表っていうすごい日程だけど……そんなに言うなら課題を発表するぞ?」


 ……ゴクリ。


「まず筆記は「魔法の術式化」。先生が出した魔法をその場で術式化してもらう。そして実技は「ある条件下で人型の模型を壊す」だ。模型は先生が操るので魔法をうったり、攻撃してくる。当たったら失格だ」


 ……なんか厳しくない?

 その場で術式化とか、即失格になるとか。


 でもやるしかないんだよなぁ。


 とりあえずその日から勉強しまくった。

 俺はトルビーの実戦練習に付き合いつつ、図書館に入り浸り、術式を覚えまくった。



 こうして俺たちはテスト初日迎えた。

「喧嘩するほど仲が良い」と言いますよね。

 どうも、本部長です。


 トルビーとライム、よくハモるんですが、その度に「真似すんなよ!」「こっちのセリフだっ!」と悪態をつき合ってます。


 ……仲良いですね。


「「うるさ〜い!」」


 ……ほら、また喧嘩を始めましたよ。


 以上、本部長でした。

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