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チャイと時枝ヒカル君  作者: 河村諭鳥
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青春編2

「だから、あんな可愛い子がお前なんかに振り向く訳ないって」


と、チャイは僕の机の上で言った。


「そんなのやってみなきゃわかんないじゃん」


「そうだけど、でも、ないない、奇跡でも起こんない限り絶対ない」


「奇跡ならもう起こってるじゃん!いま、君とがこんなに普通に暮らせてる事が、まさに奇跡だよ」


チャイは前足で顔を掻いた。


「それとこれとは別じゃね?」


「奇跡だという点においては一緒でしょ。 とにかく僕に協力してくれるから、君はここにいれるんだし、何でもいいから彼女のもっと情報探ってきてよ」


「しょーがねぇなーったく」


と言って窓から出て行った。


チャイが僕の家に来て1ヶ月が過ぎた。

あの日、僕はあのままチャイを連れて帰り、

猫が大嫌いなお母さんを必死で説得し、

チャイをお母さんに決して近づけない事を条件に、飼う事が許された。

何故そこまでしてチャイを飼おうと思ったのか?

僕は、猫をずっと飼ってみたかったからだ。

僕は目覚めた時から、その可愛いルックスや、

気ままな所などにめちゃくちゃ魅かれていた。

多分、小さい頃も好きだったに違いない。

でもお母さんが大の猫嫌いだったので、今までどうしても飼いたいと言えなかった。

チャイは猫の上に、僕と話まで出来る面白い奴だ。

ただ、僕以外と話す事は出来ないし、

この事は僕とチャイだけの秘密にしている。 

話しても誰も信じてくれないだろうから、

だからこそ、そんなチャイに、僕が初めて好きになったクラスの女の子、浅田美咲ちゃんの事を探ってもらっている。


まだ高校に入学したばかりの頃、

お昼の売店でパンを買おうとしたけど、財布を忘れた事に気づき慌てていたら、後ろにいた浅田美咲ちゃんが払ってくれた。


「ありがとう」


と言うと、


「いいよ、これくらい」


と言ってくれ、後日お礼にこっそりコーヒー牛乳を渡したら、


「ありがとう」


と笑顔で言ってくれて、その笑顔がめちゃくちゃ可愛くて、その時から彼女の事が毎日気になって仕方なかった。

彼女は誰にでも優しくて、顔も可愛くて、成績も良く、クラスの皆からも好かれていて、

男子からの人気も高かった。

彼女はいつも三人の女友達が一緒で、僕と話す会がほとんど無い。

僕が彼女について知っている事は、

毎日バス通学で、帰宅部で、昼はだいたいお弁当を毎日持ってきていて、でもたまにパンとコーヒー牛乳で、仲の良い女友達三人と食べているという事だ。

チャイに、彼女の帰宅時に後をつけて貰った結果、

バス通学で、三つ目の停留所で降り、徒歩10分の所にある一軒家で、お昼を共にしている三人の女友達と帰りに遊ぶ時以外は、ほとんどまっすぐ家に帰っている。

女友達三人は、学校の近くの駅から電車通学している。

学校帰りに遊ぶ時は、電車で二つ目の駅前にあるファーストフードや、ファミレス、カラオケやゲームセンターやショッピングセンターなどが並ぶ市街で遊んで帰る。

遊ぶ内容は、ファーストフード等で、スイーツを食べたりしながら喋って、その後、服を見たり、可愛い小物を見たり、カラオケ行ったり、

チャイの情報によると、彼女はいつもその三人と遊んでいて、他の友達と行く事はほとんど無く、ましてや男の気配は一切感じられない。


(ちなみに学校のお昼休みに彼女達の会話を、 何度盗み聞いていても、彼女の男の話は出てこない)


ただしこれは平日なので、休日はどうしてるのかまだ分からない。


明日は日曜日で、朝から学校は休みだ。


チャイには、朝から彼女の家の近くで張り込んで貰うつもりだ。




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