猫国編(ネココクヘン)1
「猫国編」は、「ねここくへん」
と読みます。
よろしくお願いいたします。
「それで、ヒカルを元に戻す方法が見つかりそうなのか?」
とチャイは言った。
「はい、チャイ様」
灰色模様の体に、顔に黒い模様の入った雄猫、チェキが言った。
「私達の祖母のボキ婆が、今調べておりまして」
同じく灰色の雌猫、ベキが言った。
「そうか」
「はい、引き続き調べておりますので、もう少しお待ち下さい」
チャイが言うと、チェキが答えた。
「分かった、また何かあれば報告してくれ」
とチャイが言った。
「分かりました」
二匹の猫は去って行った。
チャイは、ヒカルの家の近くに流れているキセラ川のキセラ橋の下にいた。もう夕暮れ時だった。
「チャイ!」
自転車に乗ったヒカルが声を掛けた。
「シー!外であんまり大きな声で話掛けるなよな」
とチャイが言った。
「大丈夫、大丈夫、誰もいないし、一緒に帰ろう」
チャイは前カゴに乗り、ヒカルは自転車を漕ぎ出した。
「お前、今日はどうだったんだよ」
しばらく漕いでから、チャイが小さな声で聞いた。
「うん。最高だった」
「え?もしかして?」
「美咲ちゃん、僕の彼女になりました」
「うそだろ!?」
「ほんと!」
「すげーじゃん!」
「でしょ!」
「おう!」
「それでさ、8月になったら海の近くで花火大会があるから、一緒に行く事になったんだ!」
「そうか~良かったな。お前勉強も頑張ってたし、今日は良い夢見れそうだな」
「うん。ありがとうチャイ!」
「おお」
と言いながら、自転車で家まで帰った。
夕日が二人の姿を奇麗に照らしていた。