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チャイと時枝ヒカル君  作者: 河村諭鳥
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青春編1

「俺の嫁になってくれ」


僕の名前は時枝ヒカル16歳、高校1年生。

4歳の時に交通事故で寝たきりになって以来10年間、ベッドの上でずっと眠ったままだったってお母さんが言ってた。

目を覚ました時は、4歳までの記憶も全部忘れてて、 14歳の赤ちゃん状態だったけど、お父さんとお母さんと一緒に、必死にリハビリと勉強をして、何とか高校に入学出来た。

記憶が無い事以外、事故の後遺症は一切無く今まで過ごして来たけど、 まさかここにきて、こんな後遺症とも言えなくない様な事が起きるとは。


「俺の嫁になってくれ」


と、茶トラの野良猫からプロポーズされたのは、僕が目覚めて2年余りが過ぎた頃だった。

日曜日の午後、コンビニに一人で行った帰り道で、

周りを確かめたけど誰もいなかったので、空耳かと思いそのまま歩いてると、


「俺の嫁になってくれ」


とまた声がした。

後ろを振り返ると、1匹の猫がこっちをじっと見ていただけなので、 僕はまた歩き出した。すると、


「何で無視するんだよ!!!」


と猫が飛び掛かり 僕の足を引っ掻いた。


「いったあー!!」


「いったあー!じゃねーよ! お前聞こえてんだろうが!!」


「は?」


僕は驚いて猫を見て固まった。


「俺の名前はチャイ!! お前は!?」 


「…」


猫の毛が逆立ち、また襲いかかってきそうな気配だったので、


「と、時枝ヒカル!」


慌てて言うと、さっきより100倍でかい声で、


「ヒカル!!!俺の嫁になってくれー!!!!!」


これは…夢の続きか?それとも後遺症の一つか? もしや新たな能力の開花か?

猫が話しかけてきた上、第一声でプロポーズされるなんて、しかも雄猫に…。

うーん、ただ、猫とはいえその目は真剣そのものだったし、中途半端に応えると再び襲 われそうなので、

これはよほど僕に飼われたいのかな?と思い、


「僕、他に好きな子がいるんだ」


と言った。


「え?」


と、猫は驚いた顔をした。


「誰にも言ってないけど、 同じクラスの浅田美咲ちゃんの事が好きなんだ」


と、僕は言った。


「だから、君に協力して欲しい」


「は?」


「君は僕に飼われたいから、そんな事言ってるんだろ?」


「だったら、協力してほしい。 協力してくれたら、君を飼ってあげる」


「わ、わかった」


「よろしく、 チャイ」


と、僕は言った。








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