表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

気まずい

土日が過ぎて週が明ける。またいつもの月曜日から始まる一週間。


眠気の限界の四時間目を耐えれば、やっと一段落つける昼休み。指を組んで凝った体を上へ伸ばす。


「うひやぁ!」


無防備なわき腹に刺さる人差し指。


変に出た声を隠すように身を縮ませ、私のわき腹を傷物のした犯人を睨みつける。


「最高に可愛いっ。もう可愛いんだからもっと周りには気を付けなきゃ」


この高校にいる数少ない同じ中学の友達。その中でも親友と呼べる子だが、反省はしていない。というか、期待もしていない。


みお、だからやめてって言ってるでしょ」


「だってあんなに綺麗なくびれを見ると、つい指が出ちゃうの。それに私思うの、誘惑する女の方が悪くないって?」


無邪気な笑顔で言われても何も共感できない。10:0でみおの方が悪いよ。


「誘惑してないし、変な妄想しないでその指を抑えて。ちょん切るよ?」


「あ、闇落ち葉音はおんが出てきた~。ドォドォ」


時々、出てしまう心の底からのチクチク言葉を闇落ち葉音はおんと呼ばれる。


高校ではまだみお以外で見せていない。というか、見せる程仲良くできてる人がいない。


「私は動物じゃないんですけどっ」


「私のから揚げあげるからそれで許して。それに葉音はおんはもっと肉をつけなきゃ」


みおはバレーボール部でボーイッシュさ溢れる、ショートカット。性格は陽キャラでポジティブ、元気っ子。


きっとみおがいなかったら、ぼっち高校生だった。その点では感謝している。


「葉音~、ほら隣」


イスを軽く叩く澪。そこには四つの固められた机。


昼食はいつも四人。


私と澪、澪がバレー部繋がりで仲良くなった人とその人の友達の四人だ。


「ねぇ、四時間目のコミュ英のプリント後で見せてくれる人いない?また呪文にやられた」


バレー部でポニーテールのプリントを頼んでる子が、古都ことさん。いつもどこかしらの授業で寝落ちしてる。


眼鏡を掛けている艶のある長髪の人が澄壬すみさん。物静かでクール。笑う時は口に手を当てる温厚で優しい人。


この二人は塾が一緒で顔見知りだったらしい。それで高校で仲が深まったらしい。


「分かる~。高校の英文長すぎ!音声流されたら眠くなっちゃうよね」


「手でもつねってみたらどうですか?時間稼ぎぐらいにはなりますよ」


「ええ~だったら寝る」


「私も~」


きっと私たちは友達なんだと思うけど。


うまく会話に交ぜれてる自信もない。古都ことさんや澄壬すみさんとは友達の友達という感覚が拭えない。どこか気まずくて、疎外感がある。


みんなどう思ってるか気になってしまう。まだ信用できてる気がしない。


みじん切りされたキャベツのサラダを食べながら、軽い自己嫌悪。


・・・図書室で猫又くんと話してる方が楽だった。


箸が止まる。


うわー、何それ。猫又くんと話したいってこと?ないない。あんなひねくれ者だよ。


時間が経てば、古都ことさんとも澄壬すみさんとも仲良くなれる。ちょっと気が合って、タイミングが良かっただけ。たまたま仲良くなっただけ。教室でもほとんど喋らないし、二人とも仲良くなった方がいい。


「葉音、どした~?もしかして、私のから揚げ食べたかったの?」


「ごめん、もうちょっとで読み終わる本があるから、図書室行ってきていい?ごめん」


ご飯も食べ終わらず、私はお弁当を片付けて教室を出る。


「え~いいの?このから揚げ」


教室にはから揚げを持ち上げたまま、固まる澪がいた。きっと不純な気持ちであ~んをしようとしてたからだろう。


「猫又くん、じゃんけん、ポイ!」


猫:パー

葉:チョキ Witer!!


「はい、やっぱり運しか勝たん!これでじゃんけんは運だね」


「心理戦なのに考える時間がないから無効です。あと、他に人がいます」


「・・・ごめん」


図書室の入り口から結構な声量でじゃんけんをしてしまった。恥ずかしい。


「じゃあ、今日もぼっち同士一緒にお話ししますかっ、猫又くん」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ