第1話 求める愛
とある朝——
自室のベットで寝ていた少年は目を覚ました。
「もう、朝なのか……」
少年が起きようとすると、同じベットに誰かが寝ていた。
「ああ、そう言えば、こいつと寝ていたんだっけ……」
少年は、スヤスヤと寝ていた頭に獣耳を生やしている女を見た。
「おーい、起きろ! 朝だぞ!」
と、女の獣耳を触る。
ピクッ、と、敏感に感じた彼女は、毛布に隠された尻尾を振っていた。
尻尾と言っても一つではない。九つの尻尾が動いている。
「ん、んん!」
敏感すぎる耳は、彼女の体全体を刺激した。
(やべぇ。可愛い……)
もっと、耳を触る少年は、彼女の尻尾も触った。
フワフワで柔らかい彼女の毛並みは、最高である。
「真、何をしているのじゃ?」
と、目を覚ました彼女が言った。
「あ、わりぃ……。起こしてしまったか?」
「起こしたも、何も、こんなに触られたら起きるに決まっているじゃろうに……」
獣耳の女は、起き上がると、少年にキスをする。
「これは私からの愛情じゃ。受け取るがいい」
「いいのか?」
少年は訊く。
「ああ、よい。私は、お前さんの従者なのだからな。主の欲求にも答えるのも務めだ」
少年と女は、甘いキスを交わす。
朝から濃厚なキスを交わすのは、何回目だろうか。
ベットで、互いの体を抱き合い。求め合い。そして、沼へと落ちる。
こうして、少年と獣の女の物語は、始まるのであった。