表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/53

ギルドと精霊協会1

 ギルドの回は長くなりそうなので一旦切りました。会話考えるのがなかなか難しいです。

だいぶ、更新が遅くなりましたがこれからも見守っていただけると嬉しいです。

ルキウスとシギ、アントニオは話し合いの結果、ギルドに仮冒険者登録をすることになった。何故、仮なのかというと、ルキウスは王族であるためギルドでの緊急依頼や指名依頼が受けることが困難だからだ。実際、登録している貴族のほとんどは仮である。ギルドで正式に登録しているのは平民が大部分だ。

 今日はルキウスとシギ、アントニオでギルドに馬車で向かっている。


「いやぁ~、ギルドかぁ~。」


アントニオは既に気分が高揚して、体が左右に揺れている。また初めての馬車ということもあり、色々と興奮している姿をルキウスとアントニオは微笑ましく見ていた。乗っている馬車は茶色一色で塗られている。ドアの縁には金色の模様が入っているが、全体的に地味だ。アントニオは王族が乗るものにしては地味ではないかと思ったが、ルキウスがギルドに行くだけなのでこれぐらいが調度いいと言ったことで納得した。また、座席が質の良い物を使っているからか座り心地が良かったため、お忍び用だということが分かった。


「と言っても、君は仮登録が終わったら即執事修行だがな。」


「いや、仮登録前に修行かと思っていたから、嬉しいんだよ。まぁ、それも第一王子らが動き始めたからだけど。そういえば、修行といってもどこに行けばいいんだ?何すればいいか聞いてないから、ちょい不安で…」


「それは心配ない。平民から中流階級貴族用の執事育成所がある。あそこは身分の階級別にクラスを分けるから、安心して学べるだろう。そして二週間に一回、身分に関係なく集まって食事会という名の交流会を行うんだ。地位が低い者は権力で潰されないないように人脈を広げるのが一番だ。また、実力がある程度つけば身分によるクラス編成から実力によるクラス編成に変わる。君には執事として修行するのと同時に人脈を広げてほしい。」


「ハーイ!」


「なるほど。最初に身分で編成するのは芽を潰さないようするため。食事会と講師たちで横の繋がりの作り方と重要性を教え込むのか。弱い者が生きやすい環境に来た途端、強者になったと勘違いしないように。」


「最初から実力編成でいくと、普段は腰の低い者たちが、自分より立場が弱い者ができたことで勝手な振る舞いをすることが多い。そのせいで、他の者たちが充分に実力を発揮できないばかりか、そもそも身につかず、虐げた者たちも、外の世界でまた弱者に戻った時に生き方を知らないまま潰されてしまう。」


 ルキウスらしい選択だとシギは思った。王子といえど、その権力を振るう機会は無く、部下もほぼいなかった。そのため、地位に頼るのはほぼできないとみている。味方は多い方がいいだろう、いくら地位が低くても民は民。一部ならまだしも多くの民を無下にすれば窮地に追い込まれるのは他の王族と第一王子側の上流階級貴族だ。それに、今のルキウスは策を張り巡らすことに夢中になっている。個人的にもアントニオがどんな友人を連れてくるのか楽しみで仕方がない。本人はほぼ無自覚だが、場を和ませ、人の懐に入るが上手だ。大物一匹は釣ってくるだろう。


「シギ、何こっち見て笑ってるの?怖いんだけど。」


「大物もいいが、小さいのから中くらいのもいっぱい釣ってこいよ。」


「俺、釣りしに行くわけじゃないんだけど。」


「二人とも、ギルドに到着したよ。」


 ルキウスの言葉に反応して、二人は窓の外を見た。見えるのは木造の建物、ギルドと書かれた大きな看板がある。でかい三メートルはあるだろう扉から人が多く出入りしている。馬車をギルドの横に止め、一同は予め連絡をいれ、待っていた職員に案内され中へ入った。王子に護衛がいないなんておかしな話だが、正直シギがいるので問題ない。通された部屋には、こげ茶の長髪に肥満気味の女性がソファーの横には立っている。その横には厳つい筋肉質な男性が立っていた。


「ルキウス第二王子殿下、お待ちしておりました。ギルド長のエレナ=ヴァンキュリーです。そして彼が副長のジンドです。」


エレナがお辞儀をすると、ジンドがそれに倣うようにお辞儀をした。それを見て頷いた後ルキウスがソファーに座り、シギとアントニオはソファーの後ろに立った。


「案内感謝する。この女性はシギ、私の精霊だ。そして、彼はアントニオで執事見習いだ。今日はとりあえず仮登録だけをしようと思う。」


「ということは泉になられたというのは本当だったのですね?」


「あぁ。泉としての仮登録を頼む。」


「すいません、泉ってなんですか?」


アントニオが挙手しながら訪ねた。


「邪魔が入らないよう、細かいことは後回しにしたため説明を所々入れながらで頼む。」


「もちろん構いませんわ、第二王子殿下。アントニオ様、泉とはシギ様のような精霊とパートナー契約を結んでいる方のことです。昔から人は水、精霊は花と言われています。契約する前の精霊は種と言われ、それを咲かせるだけるだけの水持ち、魔力を持っておりパートナーを持つ方を泉というのです。逆にそれができない方をカレハテタモノと呼びます。カレハテタモノはあまり見目がよろしくない者に多く。逆に泉になるのは見目麗しい方が多いです。第二王子殿下が泉になられた事で各所の精霊教会の信徒たちが騒いでいます。」


「精霊教会?」


「一部のカレハテタモノが所属している教会です。一般の方々の精霊の儀を見て来世、パートナーを得られるよう祈るのです。今回の事で精霊教会は第二王子殿下を英雄視しています。」


「想定内だ。だからこれを機に精霊教会の者たちに協力を頼みたい。」


「なるほど。今なら確かにほとんどの教会は喜んで協力するでしょう。本部以外は。」


「シザルか。」


「えぇ。シザル様は身をもって貴族社会を知っています。そう簡単に政治的な意味でも個人的な意味でも。引き入れるのは困難です。何より、無礼を承知で申し上げます。第二王子殿下は…」


「政治的な取引の実践経験どころか。教育も受けていない。」


「はい。なのでいきなり教会の関係者と会うのはお勧めしません。」


「そうか。では若輩者は若輩者らしく一から学ぼう。」


「お言葉ですが、」


エレナの目つきが鋭いものに変わる。


「一から学ぶというような悠長なことは言ってられません。少なくとも第二王子殿下は多少は策士としての質はあると見ました。精霊教会のおかげでギルドは運営できているとこも多いのです。仮登録している貴族の方々も精霊教会に助けられているのですが、はっきり言って貴族連中は見下すばかりでギルドが仲介に入ってやっと仕事が回っているのです。上級精霊持ちの泉の第二王子殿下が力になってくれれば教会の方々も活動しやすくなるでしょう。」


「ならば、こちらもそちらに合わせよう。」


「随分と軽々しくそのようなことを言うのですな。」


初めてジンドが口を開いた。


「ジンド!」


「今まで何も改革一つしようとしなかった。私もこの顔です。たとえ、王族であろうと味方など容易に作れぬことは承知であります。しかし、我々のような一般人に近い、精霊教会の者たちならば特にもっと早くから動いて味方を作っていればその年でこんな、上に立つ者として初歩的な事を今更学ぶことに時間を割く必要はなかったはずだ。本当に城の中で引きこもっていただけなのですか?水面下という言葉をご存じで?」


「いい加減にしろ。」


エレナが淡々と言うジンドを止めた。


「第二王子殿下、申し訳ございません。」


「いや、構わない。言いたいことはわかる。力を持ち始めた途端、強気に出るという私のこの行為は、他の貴族連中と何ら変わらない。」


「第二王子殿下、私が担当します。貴方様に相応しい仕事を、私が、ご紹介させていただきます。」


「第二王子殿下、ジンドが無礼働いた直後に言うのは心苦しいですが、この者に任せていただけないでしょうか?」


「もちろんだ。叩き込んでくれ。」


「手続き自体は別の職員が行います。この時間はあくまでもご挨拶だけですから。こちらへ、手続き専用の部屋へ案内いたします。」


「あぁ。」


ルキウスたちが別室に移動した後、エレナがため息吐いた。


「何の真似だ、ジンド。」


「あれほどまでに第二王子にこだわる理由が分かりません。」


「殿下をつけろ。」


「私を見つけてくれたのは、第二王子ではない。エレナ、貴方でもない。それにあのような甘っちょろい言葉を引き出したのは貴方でしょう?」


ジンドがエレナを睨みつけるが、エレナも負けじと睨み返す。


「何を言うか。それに着眼点は良い。何より後ろの精霊は私やお前の無礼を笑いながら見ていた。存外、お前より精霊様の方が厳しいかもな。」


「上等です。二週間で仕込んで見せましょう。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ