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降格と胸騒ぎ

任務は終了したものの結果は散々だったルキウスたちを待つのは…

ボロボロのままなんとかギルドに帰還した五人を待っていたのはジンドだった。


「少し話がある」


そう言ってジンドに部屋に通されたルキウスたちは促されてそれぞれ席についた。


「副ギルド長、依頼達成ですわ」


ミリがそぎ落とした鼻が入った袋をジンドをに手渡す。


「うむ、これは鑑定に回す。まずはどんな感じだったかそれぞれ報告を頼む」


「最悪でしたわ!この不細工が足を引っ張ってばかりでほとんど何もできませんでしたの!オークは想定以上に逃がすわ、なかなか攻撃しないし、合わせてもくれないんです

の!」


「申し訳ありません」


ミリがよくぞ聞いてくれたといわんばかりにぶちまけ、ルキウスがそれに謝罪する。


「そうか、で?お前たちから見てどうだった?」


ルキウスたちに話がふられたが、


「副ギルド長!納得できませんわ!それほど位が高くないうえにこんな醜い者に副ギルド長自ら手ほどきのような真似を!」


「その言葉は全部私へ言ってるも同然だが?」


「そっそんな、副ギルド長は誰かに面倒見てもらってはないじゃない!」


「こいつらはうるさい親戚連中に押し付けられただけだ。精霊教会にあれこれうるさく言われるのも面倒だからな」


「っつ…、精霊教会など」


あらかじめ考えておいた設定なのかスルスルと口からでまかせを吐いた。根本的に精霊教会はなめられているがそれでも冒険者にとって大事な薬がどこで生産されているか知っているからかそこまで強く言えないようだ。押し付けられた親戚の子の面倒を見てる点についても公私混同だと抗議が上がりそうだがそこは貴族社会当たり前の光景だ。


「それで? お前たちから見てどうだった?」


ルキウスは重い口をゆっくり開いた。


「はっきり言って、爆発させるという作戦は必要だとも効果的だとも感じられませんでした。毒に関しても、鼻をそぎ落とす時に皮膚の色がすぐ変色して状態が悪くなってしまったり。強い風も特にもなかったので逃がしたオークにも届かず効果的とは言えません。連帯も作戦もなかったので皆様を切ってしまうかと思いました。また、職業的にバランスもいいとは言い難いかと」


ここではあくまでもルキウスたちはジンドより立場が下の者であるため言葉遣いは気を付ける。


「はぁ!?」


「なま…いき…」


「ケダモノ風情が! 口を慎みなさい!」


「っんふ」


渋々といった感じで話しはじめた割には結構言うので思わずシギは笑いをこらえるはめになった。


「では、野ばらのパーティーの処分を発表する」


「処分!?」


ミリが発狂気味に叫んだ。


「どうして急に…」


「ふふく…」


「急な話ではない。元々ギルド内で話しあわれていた。この討伐が成功したら晴れて研修の後に昇格、失敗したらBランク冒険者の資格を剝奪し。Fランクに降格ということで話しは決まっていた」


「っちょっと横暴ですわ!BランクからFランクなんで聞いたことありませんわよ!大体Fランクはランク付き冒険者なんて名ばかりの問題のある者が付けられる称号でしょう?!」


「そうだ。君たちは問題があるから処分されるんだ。新人育成の放棄、オークの大量取り逃がしとそ

の二次被害、そして普段からの迷惑行為」


「今まで文句…言われたことない」


「何だかんだでまっとうに成果を出していると思ったからな。だが報告により君たちのやり方が分かってから君たちは完全に必要ない、いや害悪だと判断した」


「そ、そんな…」


ミリたちは魂を抜かれたように立ち尽くしていた。それもそうだろう、BランクからFランク落ち。本来なら素行の悪いごろつき共がはられるレッテルといってもいい。それが自分たちにはられるなど考えもしなかったのだろう。


「君たちの処分についての詳細は後ほど伝える。下がりたまえ」


そう言うと職員たちが依然として立ち尽くしているミリたちを多少強引に引っ張りながら部屋の外に連れ出した。


「では、次に第二王子殿下から見たご自身の反省点をお聞きしたい」


ニヤニヤした意地の悪そうな顔を浮かべたジンドの目を真っ直ぐ見つめたままルキウスは話しはじめた。


「自分たちができること、できないことなどの情報共有の怠り、作戦の伝達不足、説得の放棄です」


「分かっておられるようで何よりです。野ばらのパーティーの連中は腐っても経験は積んでおります。状況把握はどんなに壊滅的でもあったことの説明はそれなりできます。感情を抜きにすれば、ですが。彼女らの方が非はあれど殿下が足を引っ張っていたことも事実ですな」


最後の一言を爽やかな笑顔で言い切ってからジンドは小さいベルで人を呼んだ。間もなく職員が書類の入った封筒を持ってきた。職員を手で促して退室させるとそのまま封筒の中の書類を確認しだした。書類に不備がないと確認できたのか封筒ごとルキウスに差し出した。


「殿下、これは明日からの依頼についての書類です。今日中に目を通して頂きたい」


「ありがとう。確かに受け取った」


「それでは殿下も初依頼でお疲れでしょうから今夜はゆっくりとお休みください」


いっそ不自然に感じるくらいうやうやしくお辞儀をして退室を見送られたルキウスは王族らしく対応しながらも謎の緊張感と焦りに襲わ

れていた。

しばらくはルキウスたちのギルドでの修行話になります!

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