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GIFT  作者: エイ
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ケチケチおばば

「あ~、しまったぁ」

私は、大きな声をあげ、右手で髪をクシャクシャにした。


「はぁ、もうやだぁ~」

私はスマホの画面をじっと見つめる。


「なんでよ…。なんでそうなるのよ」

泣きたい気分になる。


だって、さっきのネットショッピングで支払った方法が損していたことに今気づいたからだ。


クレジット払いか電子決済か。

購入前にかえってくるポイントを要チェックしたのに。


目の前のスマホの画面は、予定より少ないポイントが表示された。


その差は50ポイント。


そう、たかが50ポイント。

それなのに私はかなりの衝撃を受けた。


「あ~ぁ、どっからか50円取り戻せないかなぁ。はぁ~」大きくため息をつく。


損をした、そんな気分に苛まれて気分が悪い。

しばらくは、この50ポイントの後悔をし続ける。


そう。私は根っからのケチだ。


こんなことで後悔してるなんて誰にも言えないけど。



私、浅井ひさえ43歳。

事務職で給料は手取り14万円。

未婚で実家暮らし。



いつからだろうか、こんなにケチケチしだしたのは。


あっ、子供の頃からか。


お金に対してだけでもないな。

何かにつけては、損することが嫌いだ。


例えばAとBのプレゼントがあって、『 どちらか先に選んでいいよ』って言われて、Aを選んで中身を見て、Bのほうが価値があるものに見えたら、そこで物凄く後悔をする。


せっかくのプレゼントも台無しだ。



とにかく、損はきらい。

誰よりも得をしたくてしょうがないのだ。



スマホから目をあげ、ふと鏡台に写った自分の姿にこれまた、ため息をつく。


たるんだ二重アゴに口角が下がり、目はどんよりしていて、どこぞのお婆さんかと思った。


本当、ケチケチおばばだな。



私はもう一度ため息をついてスマホの決済画面を眺める。


あ~悔しい。胃がキリキリする。


モンモンとした気持ちを持て余して、私はスマホの検索画面に文字を入力した。


【お金持ちになる方法】


そう、お金持ちになれば、たかが50ポイント損したからってクヨクヨすることもなくなるんだ。


私は、検索結果を眺める。


投資だとか行動方法がズラズラと載っている。どれもピンとくるものがない。


しかも見れば見るほど、自分との差を感じてますます惨めな気持ちになった。


もう、こんな気持ちが嫌なんだよ!


もう一度、検索画面に打ち込む。

【後悔しない いい気分】


私は検索結果画面をゆっくりスクロールしていた右手の人差し指を止めた。


『 あなたの人生にミラクルを

仕事もお金も恋愛も全てはあなたの気分で思いのままに』


そんな魔法みいたいな言葉が目に飛び込んできたからだ。



「はっ?どんな方法だよ」

私は呟きながら、その文字をクリックしていた。

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