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「見つかったか?」
徳丸の声がして、里奈はハッと振り向いた。
「す、すいません、見失ってしまいました」
里奈は、思わず頭を下げた。
「そりゃそうだろう。
飛んでる鳥を追っかけるなんて、至難の業だからな」
徳丸は珍しく慰めるように言った。
「あ、でも、この辺りを飛んでたのは見たんですよ」
そう言うと里奈は、生い茂る木々の枝を見上げた。
「なんだって!」
徳丸は大きな声を上げると、上空を見まわした。
「ということは、この辺りに巣があるかもしれんな。
なんとしても突き止めなければ」
「マジですか?
まだ終わりじゃないんですか?」
「当たり前だろう。
オウギワシがどうしてこんなところに居るのかを徹底的に調べるんだ」
徳丸の言葉に一気に疲れが出たのか、里奈は、その場にへなへなと座り込んだ。




