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徳丸と里奈は、オウギワシを追い、帝王ホテル方面に向かって歩いていた。
丁度、小さな林の中を抜けたところである。
日光を遮る障害物が無くなり、体感温度は一気に上昇した。
徳丸はそれでも、暑さをものともせずに歩いていくが、華奢な身体に重い機材を持たされている里奈は、脱水症状寸前になっていた。
「ちょっと待って下さいよお」
間延びした声を上げ、里奈はその場にへたり込んだ。
振り返った徳丸は、イラついた様子で里奈の元に戻ってきた。
「何をやってるんだ、おまえは!
情けない奴だ」
「そんなこと言ったって、暑い中こんな重い物持たされる身にもなって下さいよ。
それに、鳥を追いかけるなんて無茶ですって。
とっくに見失ってるじゃないですか。
もう見つかりっこないですよ」
言い終わると、里奈は座り込んだまま、がっくりと頭を垂れた。




