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「帝王ホテル」は、大物政治家や海外からの来賓まで宿泊する格調の高いホテルである。
大理石の敷き詰められた広いロビーでは、フォーマルなファッションに身を包んだ滞在客たちが談笑している。
客室は格式を重んじつつもゴージャスに彩られ、行き届いたサービスとともに、宿泊する人たちを大いに満足させていた。
そんな客室の中でも、とりわけ豪華な一室に、男が1人滞在していた。
男は日本人で、髪はほとんど白くなり、やや太めで大柄な体躯をしていた。
男はゆったりとソファーにもたれながら、窓の外を眺めていた。
時刻は午後3時。
客室からは高層ビル群、さらには、その先の山々まで見渡すことが出来た。
夜になれば数多の灯りに彩られ、さらに素晴らしい景色が見れることだろう。
まさに、今の自分の持つ力、金と権力に相応しい眺めだ。
男は強く自分にそう言い聞かせた。




