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「オウギワシっていうんですか、あの鳥」
そう言うと里奈は顔を傾けたが、徳丸は古木に止まった鳥を見つめたままである。
「ああ、南米のジャングルに住む、ある意味、世界最強の猛禽類だ。
爪の握力は140キロ。気にしがみついたナマケモノさえ、かっさらうっていうからな」
「うわっ、先輩やけに詳しいんですね」
「まあ、好きなもんでな。そういえば、何日か前、御徒町動物園に来たんだったな。
生憎と忙しくて行けなかったが、まさか、逃げ出したのか?
待てよ、そんなニュース聞いてないぞ。
もしかして、密輸ものが逃げたのか?
そんなことより、早く、撮れ、撮れ」
「え?は、はい」
里奈は慌ててカメラを枝の上の被写体に向けた。
ピントを合わせるのに手間取ったが、鳥が飛び去ることはななく、シャッターが切られた。
「あれ?あの鳥、口に何か咥えてる!」
「なに?」
里奈に言われて徳丸が目を凝らして見てみると、その鳥は確かにクチバシで何かを咥えていた。
それは、折りたたまれた紙のように見えた。




