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同じ頃、徳丸と里奈は、とある公園内を歩いていた。
いや、歩いているというより、近道のために横切っているという方が適切か。
午後になって、暑さはさらに増してきていた。
体感では40度を超えているだろうか。
ただ、周辺は木々が多く、幹や枝、さらに生い茂る葉によって、時々陽射しが遮られるのは救いだった。
「どうして、私たちはこんなに歩かなくちゃならないんですか」
里奈は、苦しそうな表情を浮かべていた。
汗だくのTシャツが、肌にべったりと貼りついている。
「仕方ねえだろう。
ウチの社はタクシー代なんて出ねえんだから。
現場までの乗り換え駅が遠いなら、歩くしかねんだよ」
徳丸は平然と言った。
「そんなこと言ったって」
里奈は口をとがらせて言うと、歩いてきた道程を振り返り、その後、これから進んでいく先を見た。
乗り換えの駅は、まだ視界に入ってこなかった。




