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「一応、被害者の手首や足首周辺に、何かに咬まれた跡がいくつも見つかっており、その周辺が壊死、つまり細胞が破壊されております。手足が驚くほど腫れあがり、おまけに頭部は溶けかかっておりますので。まあ、見れたもんじゃないですわ」
中田の報告を聞き、居合わせた記者たちは、さらにざわめきだした。
「腫れ上がってるとすると、出血毒か・・・・・・。
毒蛇だとすると、そこまで酷いのは本土には居ないな」
徳丸は顎に手を当て、つぶやいた。
「ぶつぶつ何言ってるんですか?」
横に居る里奈が、小さな声で尋ねた。
「うるさいんだよ、おまえは!
人が必死で考えてる時に」
徳丸が怒鳴ると、里奈は不満そうな表情を浮かべ、黙り込んだ。




