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「ぐはっ」
恐るべき力で、早坂のでっぷりとした体が絞めつけられた。
瞬間、全身の血が止まり、肋骨が砕けていくのが分かった。
すでに、声を出すことすら出来なくなっている。
一方、大蛇が巻きついていない足の先や顔には、複数のガラガラヘビたちが、何度も咬みついてきた。
そこから、さらに痛みが広がり、足も、そして顔も腫れ上がっていくのが分かった。
このまま、絞め殺されるのか・・・・・・
早坂がそう思った時、不意に大蛇の締めつけが緩んだ。
強い圧を受けて絞られていた体がいくらか元に戻り、呼吸も楽になった。
だが、体中に毒が回り、さらに大蛇の締めつけで瀕死状態の早坂は、すでに生き延びることを諦めていた。
早く殺してくれ、と思った。
大蛇は、巻きつけていた胴体を解き、ゆっくりと動き出し始めた。
こんな時でも、ガラガラヘビの尻尾の警戒音が鳴っているのが聞こえている。
「もうすぐ、おまえへの復讐が終わるわ」
すでに早坂の手を離れたスマートフォンから、声が聞こえた。
ゾッとするような声だった。




