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「よかったですね。
早く開いて確認してください」
耳元のスマートフォンから、女の声がした。
早坂は、震える手で紙を開いた。
「な、なんじゃ、これは?」
そこには電話番号の記述など無く、絵が描かれてあった。
「なんだ、これは?ヘビの絵が描いてあるぞ。
血清のある病院の電話番号など、どこにも書いて無い。
騙したのかー!」
早坂は怒鳴ったつもりだったが、その声はずいぶんと上ずっていた。
紙に描かれているヘビは、部屋の中で幾匹もがとぐろを巻いているガラガラヘビではなく、もっと胴体が太く、網目模様の入ったものだった。




