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「そうそう、私はガラガラヘビ毒の血清がある病院の連絡先を知ってます。
ですので、切らないで、このままお待ちくださいね」
「本当か?血清があれば助かるのか?
どこだ!どこに毒の血清はあるんだ?」
早坂はスマートフォンに向かって叫んだ。
「どうして、私があなたに教えなければならないんです?
あんな酷い目に遭わされたのに」
女の言葉に、早坂は押し黙った。
そのまま数秒が過ぎた。
その間にも痛みは激しさを増した。
ふと見れば、咬まれた手足は腫れ上がり、元の倍以上の太さになっている。
早坂は、慌てて喋りだした。
「俺が悪かった。
あれは玉川さんにそそのかされて、やったことなんだ。
指示したのは、全部あの人なんだ」
痛みと恐怖のあまり、早坂は泣きじゃくっていた。
早坂の容貌を考えれば、まったく似つかわしくない光景だった。




