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「ふざけるな!
あの女は死んだんだ。玉川社長の車に飛び込んで。
俺も見たし、玉川社長も見た。
警察の調べでもそうなっている」
「たしかに、私は玉川やあなたの乗った車に轢かれて死にました。
でも・・・・・・」
電話の声は、一瞬間を置いた。
「あの世から幽霊が電話をかけてくることだってあるんですよ」
言い終わった女の含み笑いが聞こえた。
「人を馬鹿にするのもいい加減にしろ!
警察だ!絶対に警察に突き出してやる!」
早坂はもうこれ以上我慢出来なくなっていた。
「どうぞ、ご自由になさって下さい。
ところで、今、そちらに大きな鳥が1羽、現れたと思いますが、ご覧になりました?」
電話の声は、思いもかけぬことを言った。
早坂は、部屋に現れた鳥のことをすっかり忘れていた。




