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「ずいぶん偉そうなことを言うんですね。
あなたたちがしてきた悪行はどうなんです?
知ってるんですよ。これまでに、どれだけ酷いことをしてきたか。
だって、私は直接あなたたちから聞いたんだから」
女の声のトーンが変わった。
低い、威圧感のある声になっていた。
早坂は、びびってしまった。
この女にすべてを知られてしまっているのではないのか?
そもそも、この女は誰なのか?
スマートフォンの持ち主である玉川は何をしているのか?
「でたらめばかりぬかすと、警察に突き出すぞ」
「でたらめなんて言ってませんよ。
それに、いいんですか?
警察に行ったら、あなた方の悪事もばれることになりますけど。
ああ、あなた達はマスコミを押さえてるから、何も怖くないんでしたっけね。
たとえ、人を殺したとしても」
女の言葉に、男はウッと押し黙った。
まずいことになったと思った。
「うるさい、おまえは一体誰なんだ!」
「安永あかりだと言ったはずです」
女の声は落ち着いていた。
逆に、早坂の方は感情剥き出しの声を発していた。
早坂は、じりじりと追い詰められているように感じた。




