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「私の名前はね・・・・・・、や・す・な・が・あ・か・り」
女の言葉を聞いた早坂は、一瞬、心臓が止まったかと思うほど驚いた。
「安永あかりだとー!?」
スマートフォンを持つ手が震えた。
頭が混乱していた。
安永あかりはすでに死んでおり、その様子は早坂自身が見ている。
まさか、幽霊か?
だが、すぐに気持ちを切り替えた。
幽霊などいるものか。
あの女は死んだ。
これは悪質な悪戯だ。
こういう輩には強気に出るに限る。
「安永あかりは死んだ。
あの女の名をかたるとは、悪戯にもほどがある。
いますぐ謝罪しろ。
そうすれば、俺の気が変わって許してもらえるかもしれんぞ。
だが、これ以上調子に乗るなら、調べに調べて2度と人前に出れぬようにしてやる」
これで、大人しくなるはずだ。
早坂はそう思った。




