38
デスクの神田がフロアを出る間際、行橋が声をかけた。
行橋は年齢が28、長身でイケメンである。
主にパソコンを使ったデザイン、レイアウトなどを担当しているが、人手が足りない時は、取材に駆り出されることもある。
「徳丸先輩に新人の女の子を同行させて大丈夫なんですか?」
「あいつはとんでもない巨乳好きだ。大丈夫だろう」
「いえ、そういう意味じゃなくて。
彼女、少しも擦れてないっていうか、まっすぐ過ぎる感じで、なんか危なっかしいんですよね。
ところで、徳丸先輩たちって、玉川の取材でいいんですか?
また別の殺人事件が起きたみたいですけど、今度はマンションで」
「ああ、聞いてる。
だが、そっちはガードが厳しくて、まったく情報が取れないんだ」
「例の熊による殺人事件もありますしね。
先輩はそっちに行きたいみたいですけど」
「あいつをああいう事件に行かせると、UMAとか突拍子もないこと書きかねないからな」
「そうなんですよね~。
徳丸先輩、UMAとか生物が好きなのはわかるんですけど、事実じゃなく話を創作してしまいますからね~」
「とりあえず、様子を見てみよう。
徳丸もこれまでのようにサボらなくなるだろうし、彼女の方も経験を積めるだろう」
神田はエレベーターではなく、階段を使って降りて行った。




