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徳丸は、あらためて目の前の里奈を見た。
不審な目でじろじろと見つめられ、里奈は後ずさりした。
徳丸は最初の印象で里奈を華奢だと思ったが、背もかなり低かった。
徳丸は里奈に背を向けた。
「これじゃ本当に娘みてえだよ」
誰にも聞こえぬぐらいの声で呟いた徳丸は、里奈に向き直り、咳ばらいをした後、口を開いた。
「お嬢ちゃんは記者になりたいの?」
「叔父、いえ、社長からはカメラマンをするよう言われてます」
徳丸を見上げる里奈には、少しも物怖じする様子が見られなかった。
「カメラマンって、学校でも行ってたのかな?
それか、アマチュアでずっとやってたとか?」
「いえ、スマホ以外のカメラを手にして3日です」
「はあ?」
「やる気だけなら誰にも負けませんよ」
眼鏡越しの里奈の目は、きらきらと輝いていた。
徳丸は大きなため息を吐いた。




