338/341
338
「あれから、桐原のアトリエにあった絵を1枚づつ調べていたら、こんな物が出てきた」
そこには若い女性が1人、描かれていた。
女性は眼鏡をかけていた。
「これは?」
里奈は上目遣いに堀田を見た。
「それ、あんただろう?
よく似てる」
里奈はまじまじと絵を見つめた。
しばらくして、顔を上げた。
「桐原さんが妹さんを描いた絵じゃないんですか?
私のことを妹みたいに思ってたって、あかりさん言ってましたし。
きっと私に似てたんだと思います」
堀田は首を横に振った。
「桐原の妹は視力が良くて、眼鏡は必要なかったし、持ってもいなかったそうだ。
つまり、桐原はあんたのことを描いたんだと俺は思う」




